第23話 旅立ち

 伝説を作った。何を言ってるか分からないって?

 あれから五日間。毎日毎日薬草採取にいってきた。最初喜んでいた受付のお姉さんも、最後の方は顔が引きつっていたな。

 一日で稼いだ最高金額は金貨一枚。これにはギルド内にいた冒険者たちも驚きの声を上げた。いくつかのパーティーに誘われたが丁重に断った。うん、暑苦しいのはな……。かわりにギルドに併設された酒場でお酒を奢って、色々な冒険譚を聞かせてもらった。銀貨一〇枚がどっかに飛んで行ったね! どんなに飲むんだよ。ギルマスが出てきて解散しなければもっと減っていたに違いない。


「ソラも町を去るのか。寂しくなるな」


 仲良くなった冒険者たちと別れを告げて、乗合馬車に乗り込む。

 タイガーウルフの調査がまだ終わってないからか、迂回路を通るルートの乗合馬車は混んでいた。

 馬車に揺れながら今後のことを考える。

 まずは王都南側にある南門都市エピカに行く。エピカからは王都の他に、エーファ魔導国家とフリーレン聖王国に続く街道が通っている。


「聖王国に行くには道が整備されてるんだけどな。エーファ魔導国家に行くには山越えをしないとだから、大変なんだ。それでもあの国には珍しいものがあるからか、行く商隊は結構いるよ」


 馬車の中では色々な話を聞いた。特に近付いてはいけない場所や、噂など。魔物の活動が活性化しているんじゃないかという話が多いような気がする。


「討伐依頼が多いってことか?」

「ああ、大きな町だと冒険者も多いからいいんだけどな。小さな村だと大変らしい。領主も村を見捨てるわけにもいかないから、兵士を派遣したりと忙しいみたいだな」


 村が滅びたら領内の収入が減る。だけど派遣先にも優先順位があるため、どうしても被害が出てしまう。


「それにもともと兵士ってのは対人戦のプロで、魔物には不慣れだからな。黒い森からの第一次侵攻の時なんて、被害が凄かったって話だ」

「確か王都から北側に広がる森だったよな?」

「ああ、昔は簡易砦が点在してるだけだったのが、それが今や城塞都市さ。Sランク冒険者も派遣されてるって話も聞くな」


 町や村を経由して、南門都市に到着したのは十日後だった。ここから王都に行くには、さらに五日かかる計算だ。

 南門都市エピカは二重の壁に囲まれた町だ。外側の壁から内側の壁の間に農耕地が広がり、内側の壁の中に町が入っている。壁に囲まれた面積だけなら、王都よりも広い。

 車窓から見える景色は麦畑か? そのさらに奥には酪農をしている光景もある。

 入場手続きを済ませたらその足でギルドに向かう。

 依頼の確認をしたら、配達よりも農作業の手伝いの方が多い。

 討伐の依頼もあるな。ゴブリンの討伐依頼が結構な数出ている。村からの直接依頼もあれば、領主からの定期的な討伐依頼もある。あれは放っておくと際限なく増えるって言うからな。

 薬草の採取依頼は……あるにはあるが町からは遠いな。受けるなら最寄りの村を拠点にしないとダメか。

 宿の場所を聞いて、とりあえず五日間の宿泊予約をした。

 基本的に配達の依頼を受けながら、周辺の情報収集をする。それで何か受けられそうな依頼があれば受ける感じだ。お金には余裕があるけど買いたいものもあるしな。


「ステータスオープン」


名前「藤宮そら」 職業「魔術師」 種族「異世界人」 レベルなし


HP320/320 MP320/320(+100) SP320/320


筋力…310(+0)    体力…310(+0)  素早…310(+0)

魔力…310(+100)  器用…310(+0)  幸運…310(+0)


スキル「ウォーキングLv31」

効果「どんなに歩いても疲れない(一歩歩くごとに経験値1習得)」

経験値カウンター 27001/31000

スキルポイント 5


習得スキル

「鑑定Lv8」「鑑定阻害Lv5」「並列思考Lv4」


「ソードマスターLv4」「身体強化Lv5」「気配察知Lv8」「自然回復向上Lv5」「気配遮断Lv5」


「魔力操作Lv6」「生活魔法Lv5」「空間魔法Lv6」「錬金術Lv7」


「料理Lv3」


NEW

投擲とうてき・射撃Lv2」「火魔法Lv2」「水魔法Lv1」


 投擲・射撃は遠距離攻撃をする時に、命中補正がかかる。


 火魔法は火属性の魔法を使えるようになる。主にゴブリンなど、魔物の死体を焼却するのに使用している。


 水魔法は水属性の魔法を使えるようになる。生活魔法があるため、今のところ出番がない。大量の水が必要な時に出番か?


 魔法に関しては、魔術師の転職条件が、3つ以上の属性魔法を習得していること。だったため覚えた。

 投擲とうてき・射撃のスキルに関しては、錬金術のレベルが上がって、銃を作成することが出来るようになったため覚えた。

 銃は練習で何度か撃っただけで、まだ実践での使用はない。この世界で銃なるものを見たことがないので、人がいるところでは使えないかもしれない。けど自分に危険が迫ったなら、使うのに躊躇ちゅうちょはしないつもりだ。大事なのは命。

 ただ使用した鉱石の関係か、銃の耐久度に不安がある。何度か連続使用した際に、暴発することはなかったが破損した。魔力で補強しているが、別の鉱石を使って作成したいところだ。現在の銃は三代目になる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る