第19話 薬草採取と錬金術

 朝一でギルドに向かい。薬草採取の依頼を受けた。

 魔力草の買取額は相変わらず高い。薬草よりも活力草の方が少し高く買ってくれるのか。

 今回の薬草採取は、依頼分だけ採取して、残りは全て錬金術の練習用にと考えている。自分で採取出来るのに、わざわざ錬金術用の薬草を買うのは馬鹿らしい。時間がない時なら仕方がないと諦めるが。

 薬草の採取場所は平原にあった。見渡す限りに薬草の群生地らしきものが広がる。正確に言うなら、生い茂った草の中に、薬草の群生地が隠れている。

 目印がないため地道に探さなくてはいけない。そのため難易度は高めだ。

 町から近いにも関わらず人気のない理由の一つなんだろうな。需要はあるのに。

 俺は意識して鑑定を発動させて周囲を見渡す。

 ふきだしのように文字が浮かび上がり、草の名称が表示される。

 薬草、魔力草、活力草と順番に採取する。新芽も多く見かけるので、取り頃のものは片っ端から回収することにした。

 それでも採取する人が少ないのか、まだまだ残っている。

 依頼用の薬草類は保存袋に入れて、他はアイテムボックスにしまう。空間魔法はこの旅の間使い続けたのでLvが4まで上がっている。レベルが上がるにつれて、収納したものが劣化するまでの時間が伸びている。アイテムボックス内の時間の流れが遅くなっているといった方が正しいのか?

 少し時間があるので錬金術を行う。

 MPがなくなるまで薬草と活力草を使ってポーションとスタミナポーションを作る。魔力草は高いので、もう少し錬金術のレベルが上がってから使うことにする。

 ちなみにアイテムボックス内に余裕があれば、MPが0になってもアイテムボックス内からアイテムが放出されないのが分かった。余裕を持つのは大事だ。

 錬金術を発動させながら熟練度の上がりを見ていて気付いたのは、使う素材によっても熟練度の上がりが違うこと。正確には作成するアイテムでか。

 錬金術で作成出来るアイテムは多岐に渡る。錬金術を発動させると、作成可能リストなるものが頭の中に浮かぶ。ここで鑑定を使うと、必要素材が表示される。必要素材がない状態でも作成可能。作成と念じると発動してしまうが、その場合は必ず失敗する。素材が揃っていても、錬金術のレベルが足りていないと、粗悪品が出来るようだ。

 またレベルが足りていなくても、意識してMPを多めに注ぎ込んで作成すると良品が出来ることがある。確実ではないため、ギャンブル性が高い。逆にレベルが足りているアイテムを作成する時に、MPを多く注いで作ると品質の良いアイテムが出来る。これは今のところ100%良品が出来ている。


「しかしこの表示はなんだろうな」


 一通りアイテムの作成が終わったので、錬金術の作成可能リストを眺める。

 気になるのはリストの中に表示されている「NEW」の文字。そのアイテムを鑑定すると、まずは一文。「未だかつて作成されたことのないアイテム」という文言がある。アイテムに名称はないが、続いて効果と必要アイテムが表示される。

 なかでも気になったのは、効果「遠くの人に連絡できる」というもの。これはスマホ? 電話なのかメールなのか、それと同じような機能を持ったアイテムなのかもしれない。ちなみに必要アイテムは、高品質の魔石、高品質の鉱石、大量の魔力となっている。曖昧だ。

 さらに他の「NEW」の表示されているアイテムを見ていて気付いたのは、まるでその効果が、地球にあったモノに酷似しているということ。これは俺の知識(記憶?)が元になっているのか?

 高品質の魔石を鑑定すると、「高レベルの魔物の魔石、もしくは複数の魔石を合成する」とある。

 俺はリストを見ながらあるものを探す。通信が出来る魔道具? は、さすがに作成するには錬金術のレベルが足りなすぎる。

 だが、見つけたそれは錬金術のLv5が最低条件。今のLvは3。問題は魔石と鉱石。両方商業ギルドでは買うことは可能。値段が分からない。


「このアイテムを作成するには鉱石よりも魔石が重要か……」


 一度戻って値段を確認して、あとはそれを買うお金があるか。失敗するかもしれないから予備の分も必要になる。あとは錬金術のレベル上げか。

 頭の中で必要なことをまとめる。

 作成したポーションをアイテムボックスに収納し、足早に町に戻る。走るとウォーキングの恩恵が貰えないから、どんなに急いでも走ることはしない。

 ギルドで薬草と活力草を納品し、お昼を一緒にとって旅の買い出しをした。

 買い出しの間、錬金術のことに気をとられていたのもあって、少し二人への対応がおざなりになってしまった。ルリカは呆れ、クリスは拗ねてしまい、徐々に口数が少なくなってしまった。


「明日しっかり謝りなさいよ。あと埋め合わせ」


 夕食を終えて解散する時に、ルリカがちょっと怖い顔をして言って来た。

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