第4話 薬草採取と初戦闘

 宿屋の裏庭を借りて軽く素振りをしてみた。

 剣を扱ったことがないが、不思議と違和感なくスムーズに振ることが出来た。

これがスキルの恩恵か。

 あれからいくつかのスキルを習得した。


習得スキル

「鑑定Lv4」「鑑定阻害Lv4」


「ソードマスターLv1」「身体強化Lv4」「気配察知Lv3」


「魔力操作Lv3」「生活魔法Lv3」


 鑑定阻害以外は熟練度を上げてレベルを上げている。

 スキルポイントで鑑定阻害を上げたのは、何をしても熟練度が上がらなかったからだ。

 また鑑定を覚えられたことから、他にも使えるものがいるかもしれないので、一応覚えておいてレベルも上げた。

 ただ、鑑定はレベルが3になっても、未だ人物鑑定が出来ない。

 もしかしたら鑑定阻害を覚えたのは早まったかもと思ったけれども、あの水晶のようなもので鑑定出来たのだから、他にも鑑定出来る道具があるかもしれない。

 大丈夫だと思っていたら、勝手に鑑定されたなんてことになったら取り返しがつかない。そう思い込むことにした。

 消費したスキルポイントは頑張って歩いて稼げばいいしな。

 鑑定に関しては、もう少しレベルを上げてみないことにはどうなるか分からないと言ったところか。

 これは鑑定していれば勝手に上がるから気長に待つしかない。


 ソードマスターは剣の扱い方が上手くなるスキル。最初はこれなしで素振りをしたら上手く振れなかったので習得してみた。素振りをすることでも熟練度を上げることが出来る。


 身体強化は身体を酷使することで熟練度があがる。ただ酷使し過ぎると反動が来て、ひどい筋肉痛になる。どこまで重いものが持てるか試したのは良い思い出だ。


 気配察知は読んで字のごとく周囲の気配を調べるスキル。レベルが上がると範囲が広がり、またより深く調べることが出来るようになる。レベル1だとぼんやりと感じられていただけだったのが、何の気配か徐々に分かるようになってきた。


 魔力操作は体内の魔力を感じられるようになるスキル。これは単体で使用するというよりも、魔法を発動した時に消費するエネルギーを無駄なく使えるようになるものだった。


 生活魔法は浄化や火おこしなど、雑多な魔法を使えるようになった。

 この世界にもお風呂があるらしいが、安宿だと濡れタオルで体を拭くぐらいしかない。体を洗浄させるためだけに覚えたと言っても過言ではないスキルだ。火おこしなどは、今後町の外で活動する時にきっと活躍してくれるはずだ。


 一応昼前には戻る予定で街を出たが、慎重な男である俺は保存食も忘れない。

試食させてもらったら美味しくなかったので、あまりお世話にはなりたくない。


「見ない顔だな? 冒険者か?」


「初めて外に出ます。薬草採取の依頼を受けました」


「……そうか。依頼内容は口にしない方がいいぞ。誰が聞いてるかわからないしな。あとは薬草のある周辺の森は大丈夫だと思うが、稀に魔物が迷い込むこともある、注意だけはしておきな」


 門を出て街道に沿って歩くこと三十分ぐらいか? 左手に森が見えてきたのでそちらに向かう。森を横断するように川が流れていて、薬草の群生地帯は川の近くにあるとのことだった。

 何度も採取に来ている人がいるからか、足場は踏み固められていて森の中というのに歩きやすい。

 気配察知を発動させながら注意して歩くが、周囲には生き物の気配は感じられない。

 さらに歩くこと三十分、目的の群生地に到着。

 鑑定をかけて状態の良い薬草だけを採取していく。

 時々魔力草というものが混じっているのでそれも回収。

 他にも活力草や毒消し草などの細々したものも忘れない。

 ただ取りすぎるとなくなってしまうので、ある程度は残しておくのがマナーらしい。

 それでも十分すぎる量を採取できたと思う。

 これは鑑定様様だ。

 ただの草とかも混ざっているので、間違わないで回収するには草の形を良く覚える必要が出てくるからだ。

 また鮮度も大事で、枯れているものや、まだ育っていないものも査定の評価は低くなる。

 悪いとカウントされない場合だってあるそうだ。

 鮮度を保つための専用の保存袋にしまう。

 そろそろ戻るかと腰を上げた時に気配察知に反応があった。

 徐々にこちら側に近づいてくる気配が六つ。

 思いのほか移動する速度が速い。

 気配に注意を向けながら隠れられる場所に移動する。

 移動が完了したと同時に、群生地に六つの塊が飛び込んできた。

 人が二人と魔物が四体。魔物はウルフか? 確か素早い動きが特徴で、仕留めるのが大変だって話だ。ただそのスピードに対応できるならそれほどの脅威ではないらしい。

 対峙した二人は一人が一歩前に出て双剣を構え、杖を持ったもう一人が下がる。下がった一人は肩で息をしているので辛そうに見える。

 ウルフが飛びかかるが双剣を巧みにあやつりいなしている。

 隙を見て攻撃を仕掛けようとするが、そのタイミングで別のウルフが飛びかかって追撃の邪魔をしている。

 ならこちらは杖の者が援護かと思ったが、息を整えるだけで何もしない。

 相手の動きが速すぎて手が出ないと思ったがどうも違うようだ。

 杖で体を支えているようにも見える。

 考えたのは一瞬。

 行動に移したのも一瞬。

 ウルフが飛びかかると同時に解体用のナイフを投げた。

 空中で躱すことができなかったウルフにナイフが刺さる。これはまぐれだ。

 奇襲が運良く成功し、動きが鈍った別の個体に向けて剣を振り下ろす。

 確かな手応えを覚えて動かないことを確認し、次への獲物を探す。

 しかしそこには横たわる三体のウルフの前に佇む双剣使いがいた。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る