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 リーダー格の間者は別の2人の間者を見ました。2人は血だらけで倒れてます。すでに死体になってるようです。リーダー格の間者は、2人の側に落ちてた2丁の小銃をそれぞれ左右の手で掴みました。が、

「ち、こっちも銃弾タマ切れかよ・・・」

 間者はその2丁の小銃も投げ捨てました。そして再び倒れてる2人の間者を見て、

「オレだけか、間者で生き残ったのは・・・ デモ隊はいったい何人生き残ってるんだ?」


 ここはリネン室のような部屋。姫が塞ぎこんでます。右手は右耳を強く押さえてます。

「なんなのよ、これ? さっき死なないでって約束したのに、なんでみんな死んじゃうのよ・・・」

 姫はお側ご用人の侍女を見ました。侍女は平然とした顔。姫は思わずカチーン!ときました。

「あなた、なんとも思わないの? あなたのセックスパートナーが死んだのよ! あなたのフィアンセが死んだのよっ!」

 侍女は平然と応えます。

「それが彼の運命だったんでしょう」

 それを聞いて姫はさらに声を荒げます。

「何よ、それ? 将来を誓い合った相手が眼の前で殺されたら、ふつーは悲しむものじゃないの!?」

 侍従長はそれをとがめます。

「姫、声が大きすぎますぞ! 敵に気づかれたらどうするんですか!?」

 姫は反論。

「嫌よ! 言わせてよ!」

 侍従長も思わず大声。

「なりません!」

 そして小声で、

「私たち侍従と侍女は、姫のお世話をするために存在してます。その中には姫の命をお守りする仕事も当然含まれてます。私たち侍従と侍女は、私たちの命や家族の命より、あなた様の命の方がずーっとずーっと大切なのです! わかってください!」

 姫は黙ってしまいました。侍従長はここで何かを思い出しました。

「そう言えば、兵は? あの空中要塞に張り付いてる兵は、まだ来ないのか?」

 侍女がそれに応えます。

「もしや、あいつらに殺されたんじゃ・・・」

 侍従長。

「4人とも射殺されたというのか、近衛兵は?」

 侍女は手にしてる小銃を侍従長に見せ、

「敵はこれを手にしてるんですよ。4人同時に殺すことくらい、朝飯前ですよ」

「くっ、そこまで読んでなかった・・・」

 侍従長は悔しがると、黙り込んでしまいました。

 と、姫がその侍女の脇腹が赤くなってることに気づきました。

「あ、あなた、その脇腹、もしかして・・・」

「なんでもないです。かすり傷です」

 いや、どう見てもかすり傷には見えません。かなりの深手です。姫は思わず、

「どう見ても大けがじゃん!」

 と大きな声を発しました。侍女もそれに大きな声で応えます。

「大丈夫です。問題ありません!」

 侍従長は眉をひそめました。

「おい、大きな声をだすなと言ってるじゃろ!」

 侍女は謝罪の意思表示。

「す、すみません」

 姫は侍従長に、

「じぃ、お願い、この人を離脱させて!」

「姫、先ほどもお話しした通り、我々侍従や侍女の仕事は、姫の命を守ることです。最後の最期まで姫をお守りするのも我々の務めなのです!」

「けど、このままじゃ・・・」

 侍女。

「姫、私は大丈夫ですよ」

 姫はひらめきました。

「そうだ!」

 姫は侍女の赤くなった脇腹に右掌をかざし、

「飛行魔法は封じられちゃったけど、こっちの魔法はまだ使えるはず!

 自己治癒魔法ハイルングクーゲル!」

 と宣言。すると姫の掌から淡い光が現れました。侍従長はそれを見て、

「おお、自己治癒魔法ハイルングクーゲル・・・」

 と感嘆な声をあげました。が、すぐに1つの疑問が思い浮かび、頭の中でこうつぶやきました。

「いや、自己治癒魔法ハイルングクーゲルは自分にしか使えないはず。他人には使えないのでは?・・・」

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