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 ブリュンの箒は地面にスレスレに飛び、その小銃をさっと掴み取ります。そして再び小銃を乱射。次々と倒れていく近衛兵たち。残った近衛兵たちは焦ります。

「くそーっ!」

 リーダー格の近衛兵が空中に次々と発生していくガンスモーク(と火花)に気づきました。

「あの煙は?・・・ そっか、あれは小銃を撃ったときに出る煙か!

 みんな、煙だ! 煙を撃つんだ!」

 残った近衛兵たちが応えます。

「了解!」

 近衛兵たちの小銃が一斉にガンスモークに向けられました。

「うぉーっ!」

 ガンスモークを蹴散らすように飛んでくる銃弾。が、ブリュンはすでにそこにはいません。ある程度のスピードで飛び回ってるので、ガンスモークが発生した箇所にはすでにそこにいないのです。ちょっと離れた箇所にいました。

「ふふ、残念!」

 ブリュンはまたもや小銃を乱射。さらに近衛兵たちが倒れていきます。ブリュンは笑いが止まりません。

「あはは、快感かいか~ん! 突撃銃アサルトライフルてこんなに気持ちがいい兵器だったなんて!」

 銃声と近衛兵たちの悲鳴が響き渡ります。跳ね橋の両側に隠れていたデモ隊はそれを聞いて不思議顔。

「さっきからいったい何が起きてるんだ?」

 デモ参加者はそーっと顔を出します。そしてびっくり。

「ええ?・・・」

 中庭に面した建物のバルコニーのいくつかははボロボロ。そこには無数の近衛兵の死体が転がってます。残った近衛兵たちは何もない空中に向け、小銃を撃ってます。と、今1つのバルコニーにいた3人の近衛兵がもんどりうって倒れました。それを見て驚くデモ参加者たち。

「なんだよ、これ!?・・・」

「う、うわ、す、すげーっ!・・・」

 リーダー格の近衛兵が空中に次々と発生するガンスモークと火花を凝視してます。ガンスモークと火花はでたらめに発生してるのではなく、ある法則で発生してる?

 そう判断すると、リーダー格の近衛兵はガンスモークと火花を線で結んでいきます。そして・・・

「そこだ!」

 リーダー格の近衛兵は小銃を連射。その複数の銃弾が透明になってるブリュンを襲います。びっくりするブリュン。

「ええ?」

 その1発が太ももに命中。激しい痛みを感じたブリュンは、思わず悲鳴をあげました。

「うぎゃーっ!」

 何もない空中に突如血しぶきがあがりました。リーダー格の近衛兵はニヤッとしました。

「ふふ、命中!」

 次の瞬間、箒に乗ったブリュンがこつ然と姿を現しました。デモ隊はそれを見て、

「あ、あの女、オレたちを先導してた・・・」

「あいつ、魔女だったのかよ?・・・」

 ブリュンの顔から一気に血の気が引きました。

「くそーっ・・・」

 ブリュンが乗る箒は一気に上昇。そのまま城壁を越えようとします。リーダー格の近衛兵は、銃口を上に向けます。

「逃がすか!」

 次の瞬間、無数の銃弾が飛んできてリーダー格の近衛兵を蜂の巣にしました。

「うぎゃーっ!」

 小銃を撃ったのは、最後まで残ったデモ隊でした。地面に転がっていた小銃を拾い上げ、連射したのです。

 残った近衛兵は5人いるかどうか? それらの近衛兵は本能的に建物の奥に引っ込んでしまいました。上官が死んだせいで、戦意を喪失してしまったようです。

 生き残ったデモ参加者たちは集まって話を始めました。こちらも10人程度しか残っていません。内1人が口を開きました。

「どうする、みんな?」

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