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空中要塞コントロールルーム。ナルヴィがコンソールで操作してる兵に、
「よし、このまま着陸しよう! 宮殿を押し潰すんだ!」
この指令に兵たちはびっくり。兵だけではありません。この要塞を作った技術者とブリュンもびっくりしてます。
「ええ?」
技術者が応えます。
「皇子様、それはいくらなんでもムリがあります。この要塞はそこまで頑丈にできてません。宮殿と激突したら、この要塞も壊れてしまう可能性があります!」
ナルヴィは残念そう。
「むむ、そうか・・・ 威力偵察を考えたが、ちょっと浅はかだったか・・・」
技術者。
「威力偵察? では、郊外の草原に降りてみてはいかがですか? そこで兵を降ろして
「うむ、それはいい考えだな。よーし、皆の者、郊外に向かうぞ!」
コンソールの兵たちが一斉に応答しました。
「了解!」
宮殿の上に浮いていた空中要塞が移動を開始しました。
宮殿の姫とお側ご用人の2人がいる部屋。姫は立ったまま、窓の外の空中要塞をにらんでます。動き出した要塞を見て、右手をぎゅっと握りしめました。
「く・・・」
そして、
「私、やっぱ行く!」
すると侍女が姫の眼の前に立ち、怒鳴ります。
「なりません!」
姫も怒鳴ります。
「いいえ、私は行きます! どいて!」
侍女は銃口を姫に向け、
「撃ちますよ!」
それを見て侍従はびっくり。けど、姫は落ち着いてます。
「お側ご用人が私を撃つっていうの? あは、撃てばいいさ! 撃ったら私も報復するから!」
「報復? 何を?」
「あなたたちの結婚を祝福しない!」
思ってもみなかった応え。プッ! 侍女は思わず吹き出してしまいました。
姫は振り返り机の引き出しを開けました。そしてそこに収納されていた自衛隊の軍用拳銃を握り、凝視。懐に収めました。侍女は何かをしようと考えてますが、何をすればいいのか、思い付きません。
姫は右手を大きくあげました。
「箒よ!」
すると箒が現れ、姫の右手に握られました。それを見た侍女は、
「くっ! やむなし!」
侍女は持っていた自衛隊の小銃の銃口を再び姫に向けました。側にいた侍従は、ただの脅しだろうと思ったのですが・・・
ババーン! 侍女の小銃は2発弾丸を発射。その2発が姫の耳の近くを通過。背後の壁に炸裂しました。
ガクン! 初めて聞く銃弾がかすめる音に、姫は思わず腰を抜かしてしまいました。侍従は口を開けたまま、ぼかーんとしてしまいました。
「ええ~・・・」
突然ドアが開き、侍従長と2人の近衛兵が入ってきました。
「何事じゃ!」
姫に小銃を向けたままの侍女。その銃口の先の壁についた2つの銃痕。まだ煙が出ています。それを見た近衛兵の1人が、持っていた小銃を侍女に向けました。
「キサマ、姫様に何をした!?」
が、侍従長がその銃口を上から押さえつけました。
「待て!」
侍従長は2人の近衛兵を見て、
「ここからは大事な話になる。悪いが退室してもらおう」
2人の近衛兵は顔を見合わせ、そして侍従長を見ました。
「御意」
2人は出ていきました。侍従長は足下に落ちてる箒を見て、
「箒に乗って出て行こうとしたのか、姫は?」
侍女が応えます。
「はい」
侍従長は今度は床に腰砕けになってる姫を見ました。
「姫、私の気持ちが分かってないようですな。あなたがいなくなったらこの国は本当に終わってしまうのですぞ!」
姫はぷいと顔を横にむけました。聞きたくないという意思表示です。侍従長は言葉を続けます。
「仕方がありませんな。姫の飛行魔法を封じることにします!」
それを聞いた姫はニャッと笑い、侍従長を見て、
「じぃにできるはずないじゃん、そんなこと!」
侍従長はその姫を無視するように、小声で何か呪文を唱えてます。そして、
「えい!」
姫の顔に人差し指を向けました。
「これで2度と飛べないはず!」
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