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 準一は姫がどこでどんなテレビを見たのか、想像しました。秋葉原か新宿の電気店で見たのか? 渋谷のスクランブル交差点のビルの高いところに取り付けられた広告用のディスプレイを見たのか? はたまたショッピングモールのフードコートで見たか?・・・


 アニメの続きです。ある日ジェニーが数人の友人と下校してるときのことです。

「じゃあね!」

 友人が1人減り、もう1人減り、もう1人減り・・・ 最後はジェニーだけとなりました。そのときです。ジェニーを不思議な感覚が襲いました。それまで青かった空が突然赤くなったのです。そればかりか、道行く人も消えてしまいました。

「な、何が起きてんの?」

 そのジェニーの耳に男性の悲鳴が。

「ぐわーっ!」

「はっ!?」

 ジェニーは悲鳴がした方向を見ました。

「あっちの方から?」

 ジェニーは駆け始めました。角を曲がると信じられない光景が。数メートルもある妖魔が20代の男性を襲ってたのです。男性は妖魔に魔法の拳銃を撃ちますが、まったく効いてないようです。焦る男性。

「な、なんで対妖魔弾が効かないんだよーっ!」

 ジェニーは思わず声を発しました。

「なんなのよ、これーっ!?」

 その声が聞こえたらしく、妖魔はジェニーを見て奇声を発しました。

「グワッ!」

 男性もジェニーを見ました。

「あ、あの、なんでこの空間に入ってくることができたんだ!?」

 妖魔はジェニーに突進。びっくりするジェニー。

「ええーっ!」

 焦る男性。

「逃げろーっ!」

 妖魔がジェニーに飛びかかります。ジェニー絶体絶命。が、次の瞬間ジェニーの身体が輝き、ジェニーは正義の魔女に変身。いつの間にか握られていた魔法のステッキが力を発揮し、妖魔は弾き飛ばされました。びっくりする男性。

「な、何が起きてるんだ?」

 ジェニーも自分の身体の衣装を見て、びっくりしてます。

「な、なんなのよ、これ!?」

 妖魔は頭を上げ、犬のようにブルブルと震えると、ジェニーに再び飛びかかりました。

「ぐぉーっ!」

「えい!」

 ジェニーが魔法のステッキを振ると、眩い光のロープが発生。妖魔を縛りつけます。もがく妖魔。

「ぐぉーっ!」

 男性は思わず叫びます。

「よし、そのまま絞め上げろ!」

「うぎゃーっ!」

 妖魔は悲鳴をあげると、そのまま小さくなりました。なんとその正体は狛犬でした。狛犬はジェニーと男性を見て、ブルブル震えてます。男性はその狛犬に魔法の拳銃を向けました。

「よーし、とどめだーっ!」

 が、ジェニーは手を出してその行為を止めます。

「やめて!」

 男性はびっくり。

「ええ?」

 ジェニーは狛犬に、

「さあ、元にお戻り」

 すると狛犬は光になり、近くの神社の境内に。元あったと思われる台座に年代物の石像に戻り、鎮座しました。ジェニーは男性を見て、

「あの子、きっと何者かに操られてたのよ」

「君はいったい?」

「わ、私は・・・ 私はいったいなんなの?」


 これで第1話は終了。準一は姫に話しかけました。

「次は2話だよ」

「うん!」

 第2話開始。前回の話のまとめ。OP曲。そしてアニメが始まりました。

 準一は夢中になってこのアニメを見てます。が、突然姫が話しかけてきました。姫はDVDプレイヤー本体を見て、

「これって、観るだけなんだよね。撮ることはできないんだよね?」

 アニメに夢中になってた準一は、その質問に生返事。

「うん」

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