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 ウルズ王国の軍艦が回転を始めました。が、ノルン王国の新造軍艦はすぐそばまで来てます。それを見たウルズ王国の軍艦に乗ってる兵たちは唖然。

「な、なんて速さだ!?」

「あんなに巨大なのに、どうしてこんなに加速してるんだ!?」

 ウルズ王国の軍艦の船長キャプテンは、もう泣きだしそう。

「早くふねを廻すんだーっ! 早くーっ!」

 ついに大砲が撃てる角度までウルズ王国の軍艦が回転しました。が、時すでに遅し。新造軍艦はウルズ王国軍の軍艦の側面に突っ込みます。グバッーッ! 激しい衝撃音。この衝撃で船長キャプテンは海に落ちてしまいました。

「うぎゃーっ!」

 舳先のコマンダーは巨大な半月刀を振り上げ、

「行くぞ、お前らーっ!」

 コマンダーは敵艦に飛び移ります。他のノルン王国軍の兵も、ウルズ王国の軍艦に飛び移りました。

 ちなみに、このノルン王国軍の兵の中には、今朝ノルン王国に保護されたグラニ帝国軍の奴隷も混じってました。彼らも保護してくれた姫に感謝して、自ら望んでこの軍艦に乗り込んだのです。

 他のウルズ王国軍の2隻はなんとか大砲を撃つことができましたが、こちらにも新造軍艦が被弾しながら突っ込みました。1隻に複数の新造軍艦が突っ込んできたのです。

 こうしてウルズ王国軍の3隻の軍艦は、あっという間にノルン王国軍に占拠されてしまいました。


 箒に乗って上空を飛ぶ姫と準一。準一はトランシーバーに話しかけてます。

「はい、わかりました!」

 準一はトランシーバーを切り、姫に、

「ウルズ王国の軍艦も全部平らげたって」

「あは、うちの軍はすごいなあ」


 こちらはノルン王国の宮殿のテラス。広場のような広いテラスです。侍従長がトランシーバーに出ており、彼の背後には無線機の本体を背負ってる兵士がいます。侍従長はほほ笑んでます。

「今日は3つの国に侵略されたが、グラニ帝国軍もスクルド王国軍もウルズ王国軍も瞬く間に撃破した。ふふ、姫の時代は当分続きそうだな」

 次の瞬間、侍従長の背中の方からドピュッ!という音が。はっとして振り返る侍従長。

「何じゃ、今の音は!?」

 そこには無線機を背負った兵が立ってました。が、その首から上がありません。兵の身体がゆっくりと倒れました。びっくりする侍従長。

「な、なんじゃ? 何が起きたんじゃ?・・・」

 侍従長が顔をあげると、そこには2つの天馬のようなものに跨った何者かがいました。逆光で顔は見えませんが、2人とも巨大な帽子を被ってます。


 飛行する姫と準一。姫。

「私ね、ずーっと私が嫌いだった」

 そのつぶやきにびっくりする準一。

「ええ、どうして?」

「女の子に生まれてきたから。男の子に生まれてきたら、私、きっと誰もが望む地震魔法が使えたんだと思う。女の子に生まれてきて、本当に嫌だった。

 けど、そんな私に準一は力を与えてくれた。私の魔法と準一の魔法が合わされば、地震魔法ほどじゃないけど、かなりの破壊力になるよね。

 私と準一て最高のコンビだよね。私、このまま準一と結婚したい」

 準一はびっくり。

「ええ?・・・

 あ、あの~ 結婚ってなんのことだかわかってんの?」

「わかってるわよ。セックスして子どもを作ることでしょ」

 あまりにもストレートな回答に準一は唖然としてしまいました。

「ええ~・・・」

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