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姫の質問。
「じぃ、喜んでた?」
「もちろん」
「あは。じゃあ、帰ろっか!」
空中停止してた箒が飛び始めました。2人の帰路です。
一方こちらはウルズ王国軍の軍艦3隻。南側の国境線も山脈上にあり、その山脈は海に岬となって突き出てました。ただ、北側とは違って、岬の先に島が点々とつながっておらず、いきなり海が深くなってます。そのせいで大型船舶でも岬ぎりぎりに廻ることができるようです。ウルズ王国軍も岬ぎりぎりに軍艦を進めようとしてます。
3隻ある軍艦の先頭の軍艦。その甲板上、この軍艦の
「この岬を巡るとノルン王国に入る! 敵船が待ち構えてる可能性があるから、皆、十分注意されたし!
ま、現在ノルン王国で稼働可能な軍艦は3隻。しかもすべて旧型。それに対しこちらは3隻とも新型艦。船の側面を飾る大砲の数は従来の1.5倍、威力と射程距離は2倍以上ある!
岬の向こうにノルン王国の軍艦が何隻待ってるのかわからんが、何隻待ってようと間違いなく我々が勝利するぞ!」
彼の部下たちがそれに呼応します。
「おーっ!」
ウルズ王国の軍艦が岬の突端にさしかかりました。すると岬の向こうに1隻の軍艦が見えてきました。思ったより至近距離。
「ふ、案の定待ち受けてやがった・・・」
と言い終わるや否や、
「バ、バカな! なんでこんなに軍艦があるんだ!?」
実は処刑される寸前、姫によって処刑免除となった大陸の船大工たちが姫に感謝するために、6隻の軍艦を極秘裏に造ってたのです。ウルズ王国の新型軍艦よりさらに大きい軍艦です。
新造軍艦の舳先には巨漢のコマンダーが乗ってました。コマンダーが号令を飛ばします。
「全速前進! 今入った情報だと、姫はたった2人でスクルド王国軍の軍艦を撃退したそうだ! 我々は9隻も船があるんだ! やつらを瞬殺してやるぞ!」
彼の背後にいた兵たちが呼応します。
「おーっ!」
しかし、実はこの新造艦、できたばかりのせいか、何1つ大砲を積んでません。何をする気なのでしょうか?
なお、旧軍艦は大砲を装備し、現に今砲撃してます。その1発がウルズ王国軍の軍艦に命中。先ほどの
「ぐわーっ!」
甲板に寝そべってしまった
「うぐぐ・・・ く、くそーっ!・・・」
「う?」
6隻の新造軍艦がウルズ王国の3隻に向かって突進。物凄い速さです。
「う、撃てーっ! 大砲を撃つんだ!」
兵の1人が進言します。
「ダメです。この角度では大砲を撃っても当たりません!」
ウルズ王国の軍艦の大砲は、スクルド王国の軍艦同様、すべて艦の側面に設けられた窓の中に設置されてました。正面から撃てる大砲は備わってなかったのです。
今ノルン王国の新造軍艦とウルズ王国の軍艦は互いに正面を向いてました。これではウルズ王国の軍艦は大砲が撃てません。
ウルズ王国の
「なら、
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