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男性は思わずつぶやきました。
「ええ・・・ どうして欲しいんだよ・・・」
すると男性のつぶやきが少女の耳に届いたようです。男性の脳に返事がきました。
「あなたのお父さんかなあ? さっき私の身体を抱き上げてもらった。そのときたくさんのマナの力をもらった。それでなんとか命を永らえることができた」
男性はちょっと残念そう。
「なんだ、抱き上げるだけか・・・」
男性の脳に再び声が。
「もっともっとマナの力が欲しい。マナの力がないと、私は目覚めることも、立ち上がることもできない・・・」
男性は少女の顔を見て思いました。
「マナ? オ、オレ、そんな力、持ってないよ」
すると再び男性の脳裏に声が届きました。
「大丈夫。あなたもマナの力をたくさん持ってる。それが証拠に、私のテレパシーをキャッチしてるじゃん。あなたのお父さんにもテレパシーをたくさん送ったんだけど、受信してくれなかった。初めのうちは受信してたみたいだけど・・・」
どうやら男性はテレパシーを受信し、発信することができるようです。今まで意識したことがなかったのですが・・・
少女は再び少女の顔を見ました。
「抱き上げるだけでいいのか?」
「うん」
「わかった」
男性は少女の身体とカウチの間に手を入れ、少女の身体を抱き上げました。と、そのとき男性は違和感を感じました。
「左手がない?」
するとまた脳裏に、
「あは、さっきヘマしちゃって、左手、撃ち落とされちゃったんだ」
「ええ?」
男性は少女の身体を見回しました。たしかに少女の身体は血だらけ。左手の破れた布の隙間から、切断され棒のようになった左二の腕が見えます。けど、切断面は皮膚にきれいに包まれてます。
「なんか、昔から左手がないように見えるけど?・・・」
「マナの力ですぐに治したの。傷口がきれいになってるのはそのせいよ。けど、それで私のマナの力はなくなっちゃって、今の有様・・・」
男性は無言になってしまいました。男性はその状態で立ったまま。けど、すぐに疲れてきてしまいました。で、少女に話しかけました。
「あ、あの~ 座っていい?」
するとまた脳裏に、
「いいよ」
男性はカウチに座りました。すると男性の顔と少女の顔が近づきました。かわいい顔。男性は思いました。
「あは、かわいい、キスしたいな」
するとまた脳裏に、
「いいよ、キスして」
男性はびっくり。
「ええ?」
「キスした方がマナの力を早く吸収できると思うんだ。キスしてよ」
男性はさすがに戸惑いました。すると少女がまたもやテレパシーで急かしてきました。
「ねぇ、早くしてよ!」
男性は息を呑み、そして前屈みに。男性の唇と少女の唇が近づいていきます。
ついに2人の唇が合体。その瞬間、男性は不思議な感覚に襲われました。何かが、男性の身体の中の得体の知れない何かが少女に吸い取られて行くのです。これは生体エネルギー?
誰かの手が男性の左肩を掴みました。それは少女の右手。その力によって男性の顔がさらに少女の顔に近づきます。焦る男性。けど、何もできせん。力が入らないのです。すごい勢いで男性の身体の中の何かが少女の身体に吸収されて行きます。
と、少女の眼がパチッと開きました。と同時に生体エネルギーの吸収が止まりました。
「と、止まった?・・・」
男性はやっと唇を離すことができました。少女は男性の顔を見て、
「ありがと」
男性は何をすればいいのかわかりません。とりあえず、
「い、いえ・・・」
と応えました。
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