第2話 レストランにて

昼時、偶々目に入ったレストランに入ってみる。


「おひとり様ですか?」


店員の問いに見れば分かるだろと思いつつも頷き返す。

店員に案内された席でメニューを眺め、ランチセットを注文する。

暫くして届いたランチセットを食べようとすると店員は向かい側に同じメニューをもう一皿置いていった。

意味が分からずに思わず店員を呼び止めるが、店員は変わらぬ笑顔のままに口を開く。


「おひとり様のお客様にはこうする決まりですので」


こちらの怪訝そうな様子も意に留めずに店員は離れていく。

これで追加料金とか取られたら最悪だな、どちらにせよ二度と来ないだろう。

幸いというのも変だが、料理自体は普通に美味かったけど。

自分に配膳された分だけのランチセットを食べ終えると会計を頼む。

清算された料金は一人分だったのでぼったくりの類ではないらしい。

チラリと自分の座っていた席に目を向けると別な店員が空の食器を下げている所だった。


「あぁしないと、間違われる事があるんです」


会計をしていた店員がそう呟いた。


やはり、この店にはもう来ないと決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る