第27話激戦の影響

 二日間、病院や自室で、療養した鈴華は、すっかり元気になっていた。


 少し早めに起きて、鈴華は呟く。


「明々後日かー…」


 そう、慧の遺跡探索の日はもうそこまで近づいてきたのだ。


 だがすぐに、寂しい気持ちを切り替える。今日は慧とのデートの日だからだ。


 あの戦いの翌日、鈴華は慧に交渉していた。難敵に打ち勝ったご褒美に一日付き合って欲しいと。


 そして、当日の朝である。鈴華はとても嬉しくてワクワクしているが、同時に緊張もしていた。エレンと考えた作戦で、告白しようとしているからだ。





 

 話は変わるが、あの戦いの日から鈴華の周りで変化が沢山あった。


 まず、鈴華のレベルが二十五まで上がった。

 それに伴い、鈴華は実力が認められ、ギルドのどこぞの戦士により『絶姫』という渾名を頂戴した。


「絶世の美少女」という意味や、「絶技の姫」という意味が込められているらしい。


 鈴華は一つ目の意味はとても恥ずかしかったものの、二つ目の意味が嬉しかったので、その渾名を好意的に受け入れた。


慧はその渾名に対していい顔をしなかったものの、鈴華が良いのなら、と受け入れた。



 また、口の悪いレイが鈴華の戦いを「良い戦いだった」と称賛したことから、ユースティティア内でも鈴華の実力が認められていった。鈴華は、レベル差十以上を覆せる程の実力者として、慧、克臣、風翔に続く新たな才能ではないかと一目置かれるようにまでなった。


 どれもこれも慧のお陰だと、鈴華は思う。


いつか、この恩を返したいな、と。


 そんなことを思いながら、準備を始める。


 一番お気に入りの服を着て、薄く化粧をして、最後に髪を整える。


 今日のコーデは「大人らしさに少し可愛らしさ」を目指したものだ。


白のTシャツに青のスカート、髪もいつもは、戦いの邪魔になるから後ろでくくっているが、今日は下ろしている。


 全ての準備が終わり、鈴華はリビングに出る。


 慧は準備が終わっていた。きちんとオシャレをしている彼を見て思わず見惚れる。


 慧は黒の柄の入ったTシャツにジーンズだった。シンプルだが、慧の顔とスタイルの良さを引き立てている。良い!


 そして慧も鈴華に気づいた。と、慧は小さく口を開けて固まった。


その後、

「その服は、この前僕が選んだやつだよね?」

 と言う。


鈴華は微笑み、言葉を返す。


「そうだよ。その中でも、慧が可愛いって言ってくれたやつ。私の一番のお気に入りなんだ。」


「うん、あの、とっても、その……似合ってるよ。」


 鈴華は目を見開いた。まさか慧がそんな風に褒めてくれるとは思ってもいなかったからだ。鈴華も恥じらいながら返す。


「ありがとう、慧もかっこいいよ。」


 慧の顔が赤く染まる。


 そんなこんなでウブな二人の手探りデートが始まった。

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