第14話女子トーク

 一方その頃、ギルドの個室では……女子トークが開かれていた。


「鈴華さんは慧様のこと、好きなんですか?」


 あれ、何か既視感あるぞ? と鈴華は思いながら、答えた。


「はい、好きです。そんな事聞くって事は……ライバル?」


 若干詰め寄ってくる鈴華にヘイゼルは笑って否定する。


「私では釣り合いませんよー。慧様なんて高嶺の花中の高嶺の花です。」


「えー、でもヘイゼルさん可愛いし、モテるでしょー‼︎」


「いえいえー、でもモテるといったら、鈴華さんここでめっちゃ可愛いコール起こったじゃないですかー。」


 鈴華は、ははは、と乾いた笑いを上げて、言う。


「そうなんです。言われ慣れてない評価に戸惑ってます……。」


「嘘でしょ‼︎ えっ、あっちの世界にも学校とかあるでしょ⁉︎ 友達とかには?」


 ヘイゼルは驚きを隠せなかった。鈴華は今までヘイゼルが見たことない程に整った顔立ちをしているからだ。


 地球の人間の感性を疑ってしまう。


「うーん、友達と話した記憶はありませんねー。私、父親がいなくって、母親が苦労してたんです。だから、少しでも早く楽にする為に友達と話す暇があったら、ずっと勉強してたんです。」


 でもお母さん、死んじゃいましたけどね、と寂しそうに笑う。


「でも、ぽっかり空いた心の穴に慧が入って来てくれたんです。だから、両親の分まで頑張って生きて、少しでも慧の役に立ちたい、出来ることなら支えたいんです。」


 鈴華は感慨深げにそう語る。


 そして——鈴華が顔を上げると………………ヘイゼルが号泣していた。


「ゔぇぇぇーん、りんがざーん! づらがっだよねー! げいさまにだずげでもらっでよがっだねー! げいざまいがいにぞんなおひどよしなごどしでぐれるひどいないよー!」


「…………あの、ありがたいんですけど、私が頑張って涙を堪えてるのに、あなたがそれって……なんか逆転してません? あと、濁点を外しながら聞かなければならないので、聞きにくいです。」


「だっでーー」


 その後、数分後にヘイゼルは泣き止み、更に数分後、慧が戻ってきたので、ここで慧、鈴華はヘイゼルと別れた。



 その後、ヘイゼルの目が赤いことを目ざとく見つけた戦士達によって、「慧の連れは、登録初日にギルド職員を泣かせた慧レベルのやばい奴」という噂がギルド内に広まった。しかしその翌日、噂を聞いた慧がキレて噂の発信源をボコボコにした為、鈴華の耳に入ることは無かった。

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