前のエピソード――第9話◆貯金をする為の心掛け #05

◇欲を考える

以前、テレビで見たのだが、人間には生理的欲求として、食欲、睡眠欲、性欲があり、これらを穴に例えると、食欲という穴を食べる事により、満たす。睡眠欲、性欲もしかり。そこへ一度でも麻薬を摂取すると、麻薬欲という穴が空き、その穴を埋める為に、渇望するようになると言っていた。

私は二度、異常な食欲に悩まされた事がある。

一度目は、部屋が一緒だった姉が家を出た時。一日４食、またはお菓子を一袋、加工食品や総菜を部屋でこっそり食べるようになってしまった。当然、体重は増える。その後、東京に上京して規則正しい生活を過ごすようになったら、体重は元に戻った。

二度目は、一緒に暮らしていた無職の姉が、一年ぶりに就職した時。帰宅しても誰もいない家で、異常なほど食べる自分が止められなくて、嘔吐を繰り返した。収まったのは２週間後、口の周囲がただれて、痛くて開けられなくなったからだ。

孤独感を埋める為の代償行動だったのだろう。

そして、結婚していた時は、毎晩のインターネット依存で寝不足が続き、仕事にも支障が出るようになって悩んでいたが、ネット通販で買い物をすると、一区切りついたような気分になり、パソコンのスイッチを消して眠れるようになった。頻繁に届く荷物に、部屋の中は段ボール箱が山積みとなってしまった。着もしない衣類の山は、引っ越しの時に処分して来たけれど、まだ趣味の物が残っている。

しかし、買い物への依存は止まった。Wikipedeiaにも書いてある。

買い物依存症は、行動嗜癖と称される反復性行動で治療可能「より健康的な行動を促進するためにライフスタイルの変更を行うこと」

離婚して引っ越した事で異常な状態が収まった。買い物もまた、「満たされない思い」の代用だったのではないかと思う。別れてくれてありがとう、元夫に感謝。窓の無い暗く息苦しい部屋、毎日緊張を強いられた生活から解き放たれて、私はスローライフを目指すわ。