4話 彼女の部屋で その3 就寝編
夜。薄暗い部屋で俺は一人布団に横になっている。
サリーちゃんが用意した布団は意外とサイズが大きくやわらかで寝心地は良い。
まあ昨日の夜までの俺の住んでた部屋と比べたら、全てがいいと思う。
昨日までの俺はニートなので当然だが家族に疎まれていた。嫌われていたといっていいだろう。
家自体もそこまで裕福な家庭じゃ無かったので当然とも言えるが。
そう考えると、食事も風呂もだが、生活レベルが一段と上がったのを感じた。
クズみたいな俺がこんな生活をしていいのかと不安に思う。
サリーちゃんは俺を愛してくれているのを感じるが、何がそこまで良いんだろう。
ただの気まぐれだとしたら、俺はいつか捨てられるのだろうか。
その場合愛されることを知り、幸せに慣れた俺は果たしてもう一度死を選べるだろうか。
「ヤバい。なんだか不安に感じると泣けてきた」
どうしてだろう。
ほんの数時間前までは死ぬことなど平気だったのに。
愛を知った途端不安になるなんて。
「ああやべ。なんか涙出てきやがった。なんでだろ」
ちくしょう。涙止まりやがれよ。
そんなことを思うが涙は止まらない。
そんな時だった。
「遊くん大丈夫ですか?」
「えっ?」
部屋のドアの方を振り向くとサリーちゃんが立っていた。
「泣いてるんですか?」
「そっ、そんなこと……」
「いいんですよ、強がらなくても。今日は色々あって疲れたんですよね」
「サリーちゃん……俺……」
「やっぱり一緒に寝ましょう。布団入っていいですよね」
「……ああ。頼むよ」
「はい。お邪魔しますね」
サリーちゃんは俺と一緒の布団に入ってくる。
そしてとなりで横になる。
けれどサリーちゃんとこの近距離で向かい合っているとやっぱ胸に意識が行ってしまう。
サリーちゃんの胸……やっぱデカイよ。
「どうしたんですか遊くん。私の胸見てますよ」
「えっ、そんなこと……」
「いいですよ甘えて。えいっ」
「!」
サリーちゃんは俺の頭を抱き寄せて胸へと押し付ける。
柔らかい感触が服越しにも伝わってくる。
「サリーちゃん……なんか凄い幸せ」
「私もですよ。遊くんを感じられて幸せです」
「サリーちゃん。だけど俺……不安なんだよサリーちゃんとこんな甘い生活を続けてたら、いつかサリーちゃんが俺に愛想尽かした時にどうなるかなって思って……」
「そんな事で悩んだんですか? 大丈夫ですよ。一生一緒にいますから。誓います」
そういいながらサリーちゃんは俺をさらに強く、そして優しく抱きしめてくる。
俺もサリーちゃんの胸により深く顔をうずめる。
柔らかな感触が幸せ過ぎる。
「サリーちゃん。大好きっ!」
そんな幼稚な告白が出てくる。
幼稚で、でもそれが本音だ。
「嬉しいです。やっと好きって言ってくれて、私も大好きですよ。遊くん」
その夜はサリーちゃんに抱きしめられて、安心して眠りにつけた。
サリーちゃん。大好きだよ。
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