3話 彼女の部屋で その2 食事編

そしてそうこうしてるうちに食事となる。

メニューはサリーちゃんの手作りカレーとサラダである。


「美味しそうだね」

「そうでしょ。バリエーションが少ないだけで料理自体は上手なんですよ。さあさあ一緒に食べましょう」

「ああ、そうだね」


俺とサリーちゃんはテーブルに向かい合う形で食事を取る。


「そうだ。あーんってします?」

「えっ、あーんって?」

「これですよ。はい。あーん」


サリーちゃんはカレーをスプーンですくうと俺の方につきだしてくる。

これを食べろということか。


「えっ、マジで。さすがにそれは……」

「いいじゃないですか。やってみたかったんですよ」

「……分かったよ」


俺はサリーちゃんがつきだしたスプーンをくわえあーんに応える。

何だかこれ、恥ずかしいな。


「きゃー、嬉いです。そうだ。じゃあ私もお願いします」

「おっ、おう。じゃあはい、あーん」


次は俺がサリーちゃんにあーんをする。

めっちゃ照れるな。これ。


「なんだか凄いバカップルみたいですね。私達」

「ああ……でも誰もいないしいい気もする。こういうのもね」

「えへへ」


こうして幸せな形で食事は終了する。

サリーちゃんの料理は美味しくて、今まで生きた中で今日が最高の日のような、そんな気がした。


「そうだ。デザートもあるんですよ。食べますか?」

「デザートか。いいよ」


デザートか。

結構久しぶりだな。


「シャインマスカットとアップルマンゴーがあるんですけど、どっちがいいです?」

「えっ、何それ?」


聞いたこともないな。

どういうフルーツだ。それ?


「分からないですか。それなら今日は……シャインマスカットにしますね」


出てきたのは綺麗な緑の粒だった。

マスカットは知ってるけどそれと違うのかな?


「皮ごと食べて大丈夫ですよ」

「そうなんだ。じゃあ……」


口に含むが……甘くておいしい。上品な味だ。


「美味しいなこれ。食べたことないよ」

「そうなんですか。美容に良いので私はよく食べてます」

「へえ」


10粒程度あったが、ペロリと食べられた。

美味しいな。


「気に入りましたか?」

「ああ、食後にフルーツなんてこと自体今まで無かったけど、良かったよ」

「よかったです」


サリーちゃんは食器を片づけて、洗い物を食器洗浄機に入れる。

時間はまだ寝るには早いな。


「遊くん今から何します?」

「そうだな……特にしたいことないけど、サリーちゃんは?」

「私もです。そうだ。せっかくだし一緒にゲームでもしましょうよ」

「ゲーム? いいけど」

「マリカ―します? 今メンバー内で少し流行ってるんですよ」

「マリカ―? いいけど昔のしかやったことないし最近のは知らないな。それでも大丈夫?」

「はい。私も下手なのでいつも負けてるんですよ。だからメンバーに負けないように練習も兼ねて相手お願いします」

「うん。いいよ」


1時間後。


マリカ―は久々にやったけど、意外と操作性は昔と大差がなかった。

すぐに慣れて良い感じに楽しめた。

だがサリーちゃんは……


「あー、また駄目でした。残念です」


本当に下手だった。

メンバー内で流行ってるというから少しはやれると思ったけど、ドリフトも危ういぐらい下手だった。


「私レース系というかアクションは苦手なんですよ。ぶつ森とかなら出来るんですけど」

「そうなんだ。じゃあぶつ森する?」

「今日は大丈夫です。それにあれ一人だから遊くんと一緒の時にするものじゃないでしょ」

「そうだね。じゃあ時間も遅いし寝ようか?」

「はい。そうだ。遊くん、やっぱり一緒に寝ません?」

「えっ。さすがにそれは……」

「そうですか。残念です。それじゃ寝ましょうか。布団を用意しますね」

「うん。ありがとう」


サリーちゃんは布団の用意をしに行った。

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