第17話 甘やかしたい
美樹は朝が弱い。
一緒に暮らし始めてしばらくは、頑張って起きていたようだけど、徐々に起きられない日が増えていた。
「起きて!朝ご飯出来てるよ」
起こす事も多くなって、これはこれで楽しいし、なにより可愛い寝顔が見られるのが、私の密かな楽しみになっている。
「ごめんなさい」
「謝らなくてもいいのに」
「でも、いつも作ってもらって」
「悪いと思うなら、、キスして!」
「喜んで!」
濃厚なキスで1日が始まる。
「真由美さんは、私に甘いですね」
「そうかも」
「はぁ、美味しい! 幸せだ〜」
こんなふうに食べてくれると作りがいもある。1人の時も作ってはいたけれど、気持ちが全然違う。
私の方が幸せな気持ちになるんだよ。
「私が夜勤の時はどうしてるの?」
「ヨーグルトとか」
「それだけ?」
「プリンとか」
「・・・」
「ごめんなさい」
「悪いと思うなら」
「キスする?」
「ちゃんと食べて!」
「はーい」
そんなに甘くないか。と呟いた
手軽に食べられて、栄養のあるものを用意しておこう。
まずはグラノーラあたりかな。
真由美さんは夜が弱い。
あ、そっちの夜じゃなくてねーーどっちだ?ーー
っていうか、誰に言ってるんだ?
夜、二人でテレビ見てたりすると、すぐにウトウトするし。寝入ると割と何をしても起きなくて。何度かキスしたりしてーーそれ以上はしてないよーー
こんなんで夜勤とか大丈夫なんだろうか。
一度聞いてみたことがある。
「夜勤の時は眠くないの?」
「仕事の時は気が張ってるから」
と言っていた。
私といる時はリラックスしてるってことかな?そうだったら嬉しいな。
それにしても、よく寝れるなぁ。まだ21時なのに。
夜勤とかで生活のリズムが不規則だから、疲れもなかなか取れないんだろうな。
何かないかな?私に出来ること。考えてみよっ。
「お風呂お先でした! 入浴剤入ってたね」
「真由美さん、こっち来て」
「なに?」
「肩揉みしまっす」
「えぇ、なに急に?」
「最近、お疲れみたいだから」
「え、それで入浴剤も?ありがとね」
「朝はいつも甘えちゃうから、夜は私が甘やかしたいの、結構凝ってるよ、肩」
「うん、気持ちいい。はぁ、眠くなっちゃう」
よし、思ったとおりの展開だ。
「真由美さん、ここ!」
「ん?」
私は真由美さんの隣に座り、膝を叩く。
「ひざまくら。来て!」
「なんか、今日はスペシャルだね」
素直に、頭を膝に乗せてくれた。
真由美さんの髪を梳きながら、幸せをかみしめる。
「夢だったんだ、好きな人と膝枕」
「ふふ、幸せだなぁ……」
あれ?寝ちゃったよ。
そっと頬にキスをする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます