第16話 感じる。

「聞きたいな」

 答えは分かってるつもりだけど、ちゃんと真由美さんの口から聞きたい。

「どうしようかな」

 珍しく渋ってる。いつも割とはっきり伝えてくれるのに。

「言ってくれないなら」

「ん?」

「言わせてみせます」

 そう言って、頬にキスをする。

 真由美さんはクスリと笑って

「そんなんじゃ言えないな」と言うから、今度は鼻先へキスを落とす。

 次は瞼へ。

「まだまだ」

 これはもう、楽しんでるな。私もだけど。

 耳たぶを甘噛みし、息を吹きかける。

 まだだめか。こうなったら仕方ない。

 唇にキスをする寸前で止める。


 と、突然真由美さんが動いた。

 動けば触れる距離だったのだから、当たり前だけど、唇同士が触れ合い。

 そのまま反転、真由美さんが見下ろしている。

「焦らしすぎ!我慢出来ないよ」

「だったら…」

「美樹のことだよ、守りたいのは。私の大切な宝物。私の全てで守るから。だから…」

 甘いキスをする。舌を絡め合う深いキスへと変わる。

「んあ....だめ」

 甘い言葉と蕩けるようなキスだけで達してしまいそうで。ギュッとしがみついた。


「え...いっちゃった?」

「聞かないでよ、恥ずかしい」

「美樹ちゃん、感じやすいから」

 落ち着くまで抱きしめてくれている。

「うぅ、さっきは呼び捨てだったのに」

 戻っちゃった。と残念に思った。

「美樹!がいい?」

 コクリと頷く。

「じゃ、美樹!もっと感じて」



※※※



 もっと感じて欲しいと願う。

 私の言葉で指で唇で、いつまでも愛し続けたい。



「美樹、感じて!」

 愛しい人の名前を呼びながら、唇をなぞる。

 そっと触れただけなのに、潤んだ目で見上げる。



 前から思っていたけれど、美樹は感度が良い。もしかしたら相性が良いのかもしれないな。



 細い首筋に口付ける。

 鎖骨に沿って少しずつ移動して、強く吸ってみる。

「あっ」

「ごめん、付けちゃった」

「え、うそ...」

「美樹は私のもの...」



 心も体も、他の誰にも触れさせたくなくて、手元に置いた。

 私のいないところで苦しんだり泣いたりして欲しくない。という理由もあったけど。

 それだって私のエゴだ。



「嫌だった?」

 と聞きながらも、パジャマのボタンを外しにかかる。

「初めてだったから驚いただけで、嫌じゃないよ、真由美さんのしるし、嬉しいかも」

「じゃ、いっぱい付けちゃおうかな」

「え...」

「大丈夫、見えないところにするから」

 胸の膨らみにキスを落とす。

 反対側の傷跡にも口付ける。


「ずっと側にいてね」

「もちろん、ずっと側にいる...よ」


 脇腹、お臍の周り、反対の脇腹へと。じっくり愛撫を続けながら、ズボンを脱がせる。


 下着の中へ手を滑り込ませ秘所に触れる。

「あんっ」

 美樹の反応を伺う。

「可愛いっ」

 溢れる蜜を掬い上げクチュクチュと擦る。

「んんっ」

 またまたギュッとしがみつく。

「気持ちいい?」

「ん......いぃ」

「ん?どした?」

「うっ......くるしぃ」

「イってもいいよ」

 いざなうように、指を動かす

「うぅ......あっ......あぁ!」

「入れた方がいい?」

「だめ...今は......むり」

 軽く達したようだから、抱きしめて落ち着くのを待つ。



 少し急ぎ過ぎたかも。と思ったけれど、一緒に暮らす選択は間違っていないと思う。巡り逢えた時から、こうなる運命なんだと思える。もしもこれが魔法なら、いつまでも解けないで!



「大丈夫?」

「うん」

「まだ、いいよね?」

 答えを聞く前に、最後の下着も脱がせる。

「えぇぇ......ずるい」

 上目遣いで見るから

「脱げばいいの?」

 と聞けば、頷いた。

 仕方ないなと呟きながら、同じように全裸になる。

「真由美さんも感じて欲しい」

 可愛いことを言ってくれる。

「私はいつも感じてるよ」

 貴女が側にいるだけで

 貴女の笑顔を見るだけで

 貴女に触れるだけで

「じゃ、一緒に」

「うん、一緒に」

 身体を重ね、お互いの体温を感じながら、更に高め合っていく。

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