第13話 だったら、いっそ。
ドアを開けると、真由美さんがいた。
「来ちゃった」と言う。
一瞬驚いた後、ふにゃっとした柔らかい感情がやってきて、きゅんとなった。
もう〜可愛いじゃないかぁ。
表情には出てなかったようで。
「迷惑だった?」と不安そうに聞く。
「そんなことないです。どうぞ」と、あがってもらった。
「カンファレンスが早く終わってね」と言いながら、
「そうそう、これ。かめ吉くんに早く渡したくて!」とカメ用のおやつを持っていた。あ、エビ味のだ!
胃腸風邪から一週間。明日はお互い休みなので、キャンセルしたデートをやり直す予定で、会うのは明日の予定だった。
「かめ吉に会いたくて来たの?」
あざといと思いつつ、首を傾げてみたら。
「美樹ちゃんに早く会いたくなって」と小さな声で言う。恥ずかしいのか、かめ吉の方を向いてしまう。
なにこの人、可愛すぎでしょ。
後ろから抱きしめて耳元で囁いた。
「会いに来てくれて嬉しい」と。
ついでにペロっと舐めた。
「ひゃっ、耳弱いからやめっ..」
「知ってまーす」
「もう....」
振り向いた真由美さんにキスをした。
深く....長く。
「美樹ちゃん、ご飯食べた?」
「うん」
「何食べた?」
「んん?」
「また、レトルトカレーじゃないよね?」
「え?」
なんで分かるんだ?
「もう、一人だからって簡単に済ませないで、ちゃんと食べて!」
「はーい」
「ほんとに分かってる?」
さっきまでの可愛い真由美さんは、いずこへ?
「私の食生活をチェックしに来たんですか?」
「ウザい!とか思ってる?」
「別にそんなことは...」
「どれだけウザがられても、美樹ちゃんの健康は私が守るから」
真由美さん。。
「だったら、いっそ・・」
言いかけた言葉を飲み込んだ。
「美樹ちゃん、お風呂は?入った?」
「え、まだ」
「じゃ、一緒に入ろ」
「へ?あ、ちょっと」
手を引っ張られ、浴室へ連れて行かれ、あれよあれよと脱がされた。
「洗ってあげる」と言われ
浴槽にお湯を溜めながら、洗ってもらう。
「慣れてる?」
「洗髪はたまにやるからね」
真由美さんのシャンプーは美容師顔負けだ。
「オペ室では洗髪しないので下手かもしれないけど、洗っても?」
「うん、お願い」
なんだろう。洗ってる方も気持ちいいんだ。好きな人限定なのかな?
浴槽には入浴剤を入れた。
先に入ろうと思っていたのに、モタモタしてたら真由美さんに先を越された。
「ここに来て」
「うっ」
浴槽はそれ程大きくないので、密着するんじゃないか?
「そっち向きがいいな」
「こうですか?」
真由美さんに背中を預ける形だ。
当然、バッグハグされるよね。
髪を上げているので、うなじへのキスから始まった。
「んん、そこは弱いです」
「知ってる」
入浴剤のおかげで見えないけれど、背中に真由美さんの柔らかさをハッキリ感じるし、お湯はポカポカあったかいしで、頭はぼーっとしている。
自然な流れで、胸を弄ばれる。
「ん....あっ....」
キスは耳へと移動している。
「足、開いて!」
反射的に閉じようとしたら
「ダメ」
真由美さんの足が絡められ間に入ってきた。
「....っつ」
耳と胸と下腹部を同時に攻められ、更にぼーっとし、思考が停止した。
本能に従い、身体は反応し喘ぎ声も出る。
「美樹ちゃん、ベッドまで我慢出来る?一回いっとこか」
そう言うと、秘所に指を沈めた。
「大丈夫?」
真由美さんがベッドまでお水を持ってきてくれた。
「ん〜、のぼせちゃいました」
「ごめん、私のせいだね」
「確かに、そうですね」
シュンとなってる真由美さんが面白くて、そう言ったら更に小さくなってた。
「責任取って、今日は泊まるね」
「はい。って、え、帰る気だったの?」
「え、だって。無理矢理来ちゃったし?」
もう、積極的なのか遠慮がちなのか、よくわからない人だ。
「帰らないで...欲しいな」
素直な気持ちを伝えると
「美樹ちゃん...」
真由美さんの、目を潤ませた顔が近づいてきた。キスする寸前で止まり口が開いた。
「あいしてる」と。
「うぅ...」
真由美さんは、軽いキスを何度かした後、私の頬を伝う涙を舐めた。それが、くすぐったくて。
「やっと笑ってくれた」
やっぱり笑顔が1番。と言う。
まただ。いつも真由美さんは私に与えてくれる。愛とか想いとか言葉とかで守られてる。私が返せるものは?
「真由美さん」
愛しい人の名前を呼んで、口付ける。
息が続くまで。
苦しくなって唇が離れると、おでこをくっつけた。
「私も。あいしてる」
「続き、しよっ」
そのまま押し倒されて、身を委ねた。
ホントはまだ伝えたいことがあったのだけど、今日の真由美さんは激しくて、私は意識を飛ばした。
翌朝、目を覚ましたら隣に真由美さんがいて。あ〜夢じゃなかったんだなぁと嬉しくなった。脱ぎっぱなしの下着や服を拾ってシャワーを浴びに行く。
その後、簡単な朝食を作った。
寝室を覗けば、真由美さんはまだ寝ていて、寝顔をじっくり眺めた後キスで起こした。
「ん....あ、おはよ」
お返しのキスと共に。
「あ、いい匂いがする。お味噌汁?」
「正解!温かいうちに食べよ」
「あ〜美味しい。朝から和食って贅沢だね」
「そうですね、時間がある時にしか作らないかも」
一人じゃ、絶対作らないな。
「お休みの日とか?」
「誰かのために…とか」
「誰か...か」と思案顔をしている。
「一人だと、なかなか作れないから...だから」
「なら、二人で暮らす?」
「えっ」
「嫌?」
「それ、今、私が言おうとしてた」
「じゃ、決まりだね」
そう言って、美味しそうに味噌汁を啜っていた。
「そんなに簡単に?」
「ん?」
「即決してもいいの?」
「何か問題でも?」
「いろいろあるような...気がするけど」
私はなかなか言い出せなかった。
「二人の気持ちが一緒なら、他の問題は些細なことだよ、違う?」
「違わない」
いつだって、二人の気持ちが大事。
そして、真由美さんは、私の気持ちを大切にしてくれる。
私も大切にしたい。
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