第4話 告白への期待と不安

「あ、出石さん!待っててくれたんですか?」


嬉しそうに駆け寄ってくる

なんだろう?何かに似てる気がする

犬?よりも、もっと小動物みたいな…

可愛い


「うん、今日で最後だよね?」

「はい」

「よし!お祝いしよっ、あ、疲れてない?」

「大丈夫、だけどお祝いとかはいいですよ。普通でお願いします」

「私がお祝いをしたいんだけどなぁ…」

「うぅ..じゃ、ちょっとだけ」

狡い言い方だったかな



そう、私は狡い。


惹かれていた彼女が、私に好意を寄せていることを知った

『告白の予告』という形で。


それは嬉しいのだけど

同時に不安になる

『予告』だから

やっぱりやめる。って言われる可能性もある

10歳という年の差が、ネガティブな思考にさせる

だから、時間があれば食事に誘ったり、休みが合えば出掛けたり

彼女が離れていかないように努力した

こんな気持ちになったのは、いつ以来だろう


歳を重ねることで

何かにつけ、諦める癖がついていた

仕事も人間関係もそつなくこなせるようになったけど

期待もしなくなった

期待しなければ、裏切られて落ち込むこともないから


でも、河合さん見てると

諦めたくないなぁって思う

たとえ傷ついたとしても

この恋に溺れてみたい


「出石さん?なにか?」

「あっごめん、可愛いなぁって」

「な、何言ってんですかぁ…もう…行きますよ」

照れてる顔も可愛いし



いつもより少しだけ豪華な食事と、少しのお酒を頂いて

今夜は帰路に着く

ちょっと寂しいなぁって思ってたけど


別れ際の河合さんの言葉で浮かれてしまった


「出石さん、今度デートしてくれませんか?」

「デート?」

「はい。もし、週末の空いてる日があったら、私に出石さんの時間をください」

「うん。来週の土曜日は休みだから、その日でいいかな?」

「はい」



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