第3クォーター
そしてゆっくりと歩き出す①
次の日。再び
「あの、昨日も言ったんですけど。私の
沙木は弱々しく言う。俺は座るように
「カフェラテで良い?」
「実は昨日、体育館の授業があって。バスケだったんですけど体育館履きが無くて見学したんです。それがまだ見つかってなくって、友達に一緒に探して欲しいって
まず最初に、
「うん。わかった。俺たちが探すの手伝うよ」
「ほんとですか!?ありがとうございまーす」
と両手を合わせて、
俺がデレデレしていると、冷たい2つの視線に俺を
「それじゃあ、よろしくでーす。私はこの後用事があるので帰りますね」
沙木は
清佳と遥香も思うところがあったのか、表情を
「えーっとどうしようか」
と清佳が言う。
「うーん。どうしようかね」
俺がそう言うと、少しの
あれこれ考えていてもしょうがないので、まず俺たちは生徒会室に足を運んだ。
「がしま会長」
俺はノック
部屋の中には3人の生徒が真ん中の机を囲うように座っている。万部の机が短いバージョンだ。右から
3人はあれは誰だ?って顔をしてから1秒後には仕事に戻った。悪いが俺はデビルマンじゃない。カッターで岩を砕けないし、ウィングで空も飛べない。
快はなんだいつも
「おい、そこの2年2人。俺が嫌なのが顔に出てるぞ」
「だってパイセン邪魔しかしないじゃないっすか」
「そうですね童貞ですし」
おいこら、本当に思ってんじゃねぇよ。あとはっきり言うなよ。遥香が後ろで爆笑しているだろうが。あぁ、もう帰りたい。
気まずいなと思っていたら俺に救いの手が
「2人とも、あんまり先輩をからかうのは良くないよ。間違ってはいないけどね」
と思ったがやっぱり違った。本当に帰りたい。
「で、なんの用だいカラフル」
関ヶ島責我もとい、がしま会長は手を止めて、仕切り直すように俺を見た。
「その呼び方やめろよ。なんかむずがゆい」
あとなんか
「なら君も“がしま会長”って呼び方を
えー、いいと思うけどな“がしま会長”。
「皆のように“セッキー会長”と呼んでくれたまえ」
なんだセッキーってセンスの欠けらもないな。みんなよくそんな風に呼べるよな。恥ずかしくないのかよ。
だけど、“が○ま”だとか“○ッキー”だとかあだ名で呼ばれるなんて全校生徒に
ちなみに机の中央には彼の好物である雪の宿が常備されている。俺がその中からさりげなく3袋もらって横にいた遥香に
「うちに来た依頼関係で頼みがあるんだよ」
俺はがしま会長改め、セッキー会長のくだらないあだ名指定を無視して本題に入る。セッキー会長やっぱダサいな。よし、がしま会長にしよ。
「依頼?」
彼は
が、無理もない。俺たちの活動が広く
「万部だよ。生徒会なんだから活動再開のこと知ってんだろ」
「あぁ、あの部だね。わかったよ」
「それそれ。と言うことで早速だが」
俺はぴんと人差し指を立てて、
「1年c組の沙木空音の体育館履きが無くなりました。見つけた人は生徒会室に届けて下さい」
そして立てた指を
「とまぁ、こんな感じで校内放送を頼む。時間は明日の昼休みな」
俺は言い終えて、がしま会長を真っ直ぐ
がしま会長はんーと悩むように首を
「さんきゅ。んじゃ頼むわ」
そうして俺は
3袋とも
「俺のまで食ってんじゃねぇ!」
俺は
「はぁ」
思わず肩を落とす。まったくお前らは。
俺の分が無いのは悲しいが、2人が幸せなら別にいいか。呆れを通り越して尊くなってしまった。重症である。
「まぁ、いいや。体育館履き探すぞ」
俺は切り替えて次の指示を2人に出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます