唯一清らかったあの言葉は遥か遠くの空音だった
安野瑠優
第一試合 体育館履きに隠れて
アップタイム
あの日始まったカウントダウン
「ノータイム!」
2階のギャラリーから
残り時間15秒。
「よし、速攻!」
今度は
春太が着地すると同時にすかさず左サイドでパスを受ける
そこへ
逆サイドを走っていた俺は、そこで秋斗にパスを求めた。
「秋斗!」
待ってましたと言わんばかりにパッシュっと
「ナイスパス!」
ボールを受け取りながらゴールに
横に敵の影が見えた。相手チームの6番、
「いっけー!」
タタッキュッ。
俺はそれに応えるように着地と同時に右サイドにドライブを
しかし相手は
俺は一瞬止まる。が、内側の足を
そのままワンステップで踏み切って空高くリングに食らいつく。
俺はバスケットボールをリングへ放った。
一瞬世界の音が消える。時間がゆっくりになり、ボールがリングに吸い込まれていく。
着地の瞬間相手の6番の悔しがる顔が
ストン、シュパッ、ダーン、ビー!
俺のレイアップが決まったと同時に試合終了のブザーが鳴り響いた。
わっと味方側のベンチとギャラリーが
コートに
「
「最後の
「やったな。やっと一発かましてやれた」
そう言ってハイタッチを求めてくる春太、夏輝、秋斗。俺はそれに応えてハイタッチをした。
そのまま整列して相手チームの5人と礼をする。
83-32
俺たち
6月22日、日曜日。試合に敗れた俺達3年は部活引退となった。男子も女子も共に地区大会2回戦敗退という結果だったが悔いはなかった。
元々強いチームではなく、例年は一回戦敗退が普通だった。でも今年は、一回戦を突破して、最高のパフォーマンスが出来たと、皆でハイタッチを交わして笑い合うことができた。
それは前例のない笑顔の敗退。俺達を見に来てくれた先輩たちもよくやったと讃えてくれた。
7人はやりきった、楽しかったと手を振って、後輩たちに後を
そしてその夜、俺たちは7人で焼肉をお腹いっぱい食べた。誰となく「夜は焼肉っしょ!」と言って、みんなが
約2年半の部活動人生の思い出に
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