第24話 ヤミちゃんはたぬきです

 僕らは輸送バスに乗ってカヤクへとやってきた。


 ガイドブック『ブキョーの詳細を知ろう! 著/ショサーイ・ノイタリシ』によると、カヤクは稲作を中心に農業をしていて、農作物をブキョーへと輸出しており、ブキョーの食を支えている都市なんだそうだ。


 そんなカヤクだけど、オルクダンジョンの監視と掃討という任務も担っており、いざというときにはここでブキョーへの進軍を止める役割がある。だから街の中心は巨大城塞都市となっており、ここで籠城をして援軍がくるのを待つのだそうだ。

 。

 僕みたいな冒険者を含め、今回のスタンピードへ対応する人は大体十万人なんだそうだけど、その人たち全てを二ヶ月は籠城させることが出来るそうだ。今回はそんなことはしないけどスケールが違いすぎることが分かる。


「冒険者は遊撃兵として戦線の穴を塞ぐ役割を担ってもらいます。中でも一定レベルの強さがあるAランク冒険者はエース級モンスターへの対処をお願いします。フィルクさんとミクラさんは該当しているAランクなので右に左に移動しまくってエースオルクをたたき切る役割になりますね」


「なるほど。しかしなんでここにヤミちゃんがいるんですか? ブキョーの専任職員だったはず」


 ヤミちゃんはふっふっふと薄い笑みを浮かべつつ、


「Aランクの担当になると、【専属】職員になれるんですよ。これで私はどこの国へ行っても常に担当職員になれるんです。ささ、この書類に署名をお願いします」


「……ということだけど、ミクラ、どうする?」

「どうしましょうかねえ。私はフィルク様のヤミちゃんへの視線が気になるんですよねえ」


「しょんなー、おねがいしましゅよー専属は名誉なことなんですよーおねがいしましゅよー」なみだじょばじょば

「さすがたぬき、泣き崩しに来たか」

「ぴえーーーーん!」ジタバタジタバタ


「フィルク様、いじめすぎるのも可哀想です」


「そうだね、専属としてお願いするよ」


 ささっと書いて署名したよ。


「ばんざーーい! 基本的に滞在している街のギルドにおりますのでよろしくお願いします! 移動する際は着いていきますので!」


 どうやって移動するんだろうとか思ったけど、魔導バイク(マークのScorpion)にのって着いてくるそうだ。自衛武器はハイパー魔導マシンガンにスーパー魔導ナイフ、ミラクル魔導ブレード、防具は完全反射魔術結界なるもの。たぬき亜人なのでインプラントの大きさや機能に過不足はない、とのこと。


「ヤミちゃんが戦えば良いんじゃないのかな?」

「そう言うへりくつは実家のおじいちゃんが泣くので止めてください」

「そっかー」


 あんまりヤミちゃんに関わっていると時間が溶けるのでこの程度にして、防具の更新をしよう。カヤクはタンケイに劣らない武器防具の製造技術がある。


 武器に関してはミススル銀製はまだまだ現役で使えるので特に変わらず。


 錬金糸の防具の代わりに合成繊維で出来た防弾防刃コートを購入。原油からいろいろして出来た繊維なんだって。科学って不思議である。物理攻撃には優位な効果を発揮するが魔法は防げないので注意、とのこと。

 鎧の下に着る物は錬金糸より強靱なシャツとズボン。ミクラはズボンじゃなくてとても堅いスカートとパンスト。ロングシャツは大小二枚重ねにして重要な臓器などを保護する感じだ。


 木綿の服はヤミちゃんによると、そこそこお上品なお店でお食事するときにも使えるレベルだということ。ありがとうサガットのおねーさん。

 そのまま使ってはもったいないのでタンケイに戻ったら私服を買うか。


 また、資金的な余裕があるので(借金はあるけど)今まで使っていなかったポーションを買って備えることにした。

 ポーションは生ものなので普通の物は五日程度しか持たない。戦闘が始まったら争奪戦になるのは明らかなので、保存型ポーションという、十四日間ほど効果が無くならないポーションを予約しておいた。

 傷ついたときに飲むものと、MPが減ったときに飲むものを少数だけね。


 ブキョーに来てから金銭的にも生活面的にも凄く余裕が出てきているね。まだビャクヤの借金を返せていないけれどもさ。





 僕たちは先行してカヤクに来たみたいで、続々と後続の軍や冒険者がやってくる。

 輸送車が一列に並んで行動する様はまるで蟻のようだ。


 軍人さんは装備服装が統一されていてキリッとしている一方、冒険者は装備も服装もバラバラで観光客気分な人が多い。

 冒険者が増えてから若干治安も悪くなった。まさに傭兵だなあ。



 スタンピード発生まであと二週間以内と予想された当たりで軍は人事構築を行い始めた。塹壕を掘って、大型魔導銃(どういった物かは分からないけど)を配置し、大砲を後方に配備している。


「冒険者はどこに配置されるんだ、これ」


「一番奥の塹壕に入って、塹壕内部に入り込んだオルクを処分するお仕事だそうですよ、フィルク様」


「ふーん?」


 射撃しまくって数でも減らすのかな?


 まあいいや、スタンピードとはいえ、巨大国家の戦争が始まるぞ!




 ――ステータス一覧なのでアラビア数字を使います――

 フィルク

 Lv56

 MP:320


 ATK:530

 MTAK:320

 DEF:520

 RES:520

 AGI:480

 DEX:450


 スキル

 一刀両断:Lv5 

 ダブルアタック:Lv5 

 バックスタブ:Lv6 

 砂蹴り:Lv7

 石拾い、石投げ:Lv10

 ダブルファング:Lv6

 ピアッシングポイント:Lv3

 強打:Lv4

 強斬り:Lv4

 狙う:Lv5

 魔導防御Lv5

 マジックコートLv1


 双眼鏡:Lv8

 コンセントレーション:Lv8

 気配隠し:Lv18

 聞き耳:Lv15

 周辺感知:Lv5

 ステップ:Lv10

 ハイ・ステップ:Lv4


 罠配置、解除:Lv7

 スローポイズン:Lv8

 低級鑑定:Lv8 

 男料理:Lv10


 耐性

 精神汚染耐性:Lv6

 恐怖耐性:Lv8

 閉所恐怖耐性:Lv5

 人型処分耐性:Lv10

 空腹耐性Lv6 

 悪臭耐性Lv5

 毒耐性Lv2

 痺れ耐性Lv2

 痛み耐性:Lv6


 熟練度


 片手剣:Lv3

 短剣:Lv6

 片手半剣:Lv8

 弓:Lv7 

 肉体強化:Lv3 

 気功剣技:Lv6

 気功投射物:Lv5


 ミクラ

 Lv58


 MP:10000(体内にため込んでいる)


 ATK:250

 MTAK:2552

 DEF:256

 RES:3534

 AGI:680

 DEX:680

 生活魔法群:Lv9 

 ファイヤアロー:Lv5 

 コールドアロー:Lv5 

 ウインドエッジ:Lv5 

 アースショット:Lv5 

 ライトニングショット:Lv3

 マジックコートLv1

 魔導防御Lv5

 透明化:Lv8

 双眼鏡:Lv10

 忍び足:Lv15

 バックスタブ:Lv3

 きつねの周辺観察:Lv10

 きつねのMP吸収:Lv13

 きつねの機敏:Lv7 

 きつねの探索術:Lv7


 気功護身術:Lv4


 人型処分耐性:Lv9

 痛み耐性:Lv16

 精神汚染耐性:Lv5

 恐怖耐性:Lv5


 ――――


 Lvはほとんど上がってないけど、チェイチェイ先生やユー・ワン先生の修行によってステータスは飛躍的に増加しているね!

 精神や恐怖の耐性は、ナツメウナドラゴンさん様々だね。

 耐性自体は僕の方があるから、ナツメウナドラゴンさんには僕の方が弱いけれど、お化け屋敷に入ったらミクラが大騒ぎするんだろうな。

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