第20話 治療開始!!
『チェイ・チェイの気功教室』
ここが案内された気功の先生が開いている店だな。
大きい店では無くこぢんまりとしている。
店のドアを開ける。靴箱があった。どうやら入り口で靴を履き替えるようだ
。
受付に紹介状を見せて中へ入る。そして待合室らしきところで待つ。案内標識が標準語で書かれていないので読めないんだ。
「あーお客さんー? ちょっと待ってねー、今お灸をしちょるからねー」
奥の方からふにゃふにゃなおじいさんの声が聞こえてきた。
数分後にお客さんが治療室? から退室してきた。
続けてとても小柄なおじいさんが医務室? から出てきた。
「ありゃーかわいいこじゃねー。ワシがここの先生のチェイ・チェイじゃ。君が紹介状にあった女の子かね。お連れさんがパーティメンバーのフィルク君か。じゃあちょっと処置室へ来たまえ」
といって今出てきた部屋へ戻っていく。あの絵柄は処置室と読むのか……。
「んじゃーちょっと体を見るよ。下着になってあそこのベッドで横になってくれるかね? ち、治療の関係で
「ええ!? 胸はフィルク様以外にもまれたくないです……」
「仲の良いカップルなんじゃのー。精度は下がるが触るだけにしておこう。調べないというのは出来ないから許しておくれ」
そうして検査が始まった、始まったのだが
「いやぁ」
「だめぇ」
「あぁん」
喘ぐ。ミクラがめっちゃ喘ぐのだ。けしてエッチなもみ方をしているわけでは無い、肩をもむだけで大きく喘ぐ。
気功教室全体に響き渡るような声量で喘ぎまくるミクラを、悶々としながら見つめるだけしか出来なかった。
「ふう、ある程度分かったぞい。体内の気功経路も左腕を中心に損傷しておる。一般的には魔力経路と呼ばれておるな。厳密には別物なんじゃがわかりやすく気功経路で話を進ませておくれ」
「気功経路、ですか」
初めて聞いた。少なくともサガバール王国の辞典辞書には載っていないはずだ。
「存在を疑っておるようじゃが、ブキョーは何度か国や文明が分裂したものの、一万年の歴史がある。魔道文明の頃からこの考えはあったのじゃよ」
「フィルク様、怪しまなくても大丈夫だと思います。もまれている中でも内部を探られている感覚がありました。それがものすごいこそばゆかったので声が出ちゃったのですけども……。でも、多分それが気功なんだと思います」
試しに僕の左手のインプラント付近を探ってもらったら、
「ひえぁ」
僕も自然と声が出た。気功、これは本物だ。
「信じてくれたかの。話の続きじゃが、気功経路が引きちぎったような感じじゃった。これを治さないまま移植してもインプラントは使えないどころか暴走してしまうぞい」
「ええ!? そんなに酷いのですか!? 治すにはどうしたらよいのですか?」
「気功経路を修復する必要があるぞい。鍼をし、先ほどより強いもみほぐしをし、ちぎれた部分を綺麗にするのじゃ。インプラントが再生する際に気功経路も一応回復する。しかし不完全じゃからまた鍼をしてもみほぐしをするのじゃ。
「長期戦になるんですね。でも私頑張ります!」
「強い子じゃな。ついでに経路の流れ方を整える経路訓練もすると良い。少ないエネルギーで大きな力が出せるようになるぞ。ここじゃなくてユー・ワン先生の武術道場で行うことになるの。紹介状をフィルク君とも合わせて書いておくよ」
「僕もですか! ありがとうございます!」
この後ミクラは鍼治療を行った。信じられないが、刺しても痛くないくらい細い針を体に刺して治療する行為だ。実際僕にも刺してもらったが、全然痛くない。針が細いからだと言うが、それにしてもこんな針を作る技術力がとんでもないと思う。髪の毛より細いと言っていた。
鍼治療は表裏に分けて、全身まんべんなく刺したそうだ。痛くない鍼でも、左腕は結構痛かったらしい。
また、体内に溜まっていた魔力が抜けて少し楽になったとも言っていた。
先生曰く
「体内で生み出す魔力が凄い割には魔力が抜ける道が細いからそれを空ける施術もしているよ。こんなに魔力が強い子は殆どみたことが無いねぇ」
ついでとばかりに気になったところは何でも施術してくれる。ありがたい。実際この魔力で助かったことは推挙にいとまが無いよね。
「二人で一千五百ユロルですね。はい、次回予約は一週間後です。お大事にどうぞ」
「施術受けているときは大変だけど、その後の温泉が最高に気も良いね」
「あれで汗を流すことで体内循環を良くして、施術で出たゴミを排出させているそうですよ」
そう、俺もお弟子さんの元で治療を受けることにしたのだ。気功経路を整えればそこそこ魔力が出るようになるんじゃないかと言うことだそうだ。
魔力が出るなら魔法剣士になれるかもしれない。
そうじゃなくても強くなれる。
強くなればミクラを守りやすくなる!
忘れないうちにユー・ワン先生の道場にも足を運んだ。
いかにも格闘家という体格の、身長も高い先生が出迎えてくれたよ。
「アチョー! 俺がここの師範ユー・ワンだ。俺のところに来れば気功を使った護身術から拳法、武芸百般まで、なんでも習得することが出来るぜ!」
「僕がフィルク、この子がミクラです、よろしくお願いします!」
「任せておけ、アチョー!」
いきなりだけど胴着に着替えてランニングをさせられた。出来ることからすぐにやるという方針らしい。
いやあ、ヘトヘトだ。
でも治療に関しては道が出来た! 後は素材集めだ!
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