巨大国家ブキョーで光を見つけ

第19話 気功と科学の国家「ブキョー」

 ブキョーは想像をはるかに超えている都市だった!!


 まず地平線の先まで家が建っている。サガットで見た「工場」らしきものがとてもたくさん建てられている!

 これだけでも凄い!

 入国管理局をクリアして入国するとすぐに冒険者ギルドがあった。出張所らしい。ここで簡単な案内を受け、この国の歩き方が書いてあるガイドブックを受け取る。『この星の歩き方。~科学と気功の国ブキョー編』と言う名前で、本当に詳細に書いてあるな。


「これによると、人口二百万都市で世界有数の都市人口を誇るそうなんだって。ブキョーという国はこの首都タンケイに殆どの人口が集中しているらしい」


「人がいっぱいすぎて酔ってきました……」


「すぐに宿を取ろう。個人ギルドランクがBB以上だったり、パーティギルドランクがB以上だったりすると中央の特別冒険者ギルドを利用できるそうだよ」


「中央ってどこなんでしょうか……」


「魔導エンジン車のタクシーが存在するから、それに乗れば目的地まで乗せて貰えるってさ」


 話だけはサガバール王国でも聞いていた魔道機関。それがごく普通に一般市民の足として利用されているなんて。


 タクシーを拾い、中央冒険者ギルドまで走ってもらう。キュウは大きいため後ろから追いかけてくる格好だ。目立つなー。目的地に到着。料金は五ユロル。チップとして二ユロルを渡した。こんな値段で魔道機関が使えるのか……。


 さてついた中央冒険者ギルドなんだけど、黄金や宝石が使われていて非常に煌びやかだ。僕たちが利用してよい場所なんだろうか。


 受付に行って身分を証明すると少し待たされた後に個室へと案内された。中にはテーブルやソファーなどが配置されており職員さんが待機していた。


「ようこそブキョーへ。わたくしは担当職員のヤミと申します。これからは依頼などはわたくしが専門の窓口となって承ります。どうぞよろしくお願いします」


 ヤミさんはたぬき亜人の非常に愛らしい女性だった。たぬき亜人って結構セクシーな体つきなんだなあ。


「がぶー!」


「あだっ! こ、これからよろしくお願いします、ヤミさん」


「よろしくお願いします、ヤミちゃん!」

「ミクラ、ヤミさん、だろ」

「あはは、ちゃん付けため口でかまいませんよ。これから一緒に仕事をしていく仲間ですから」


「ではお言葉に甘えて、ヤミちゃん、まず宿を確保したいんだけど。ついてすぐなんで休憩したくて」


「なら中央で確保してある宿がいくつかあるのでそちらにどうぞ! 周りの冒険者も基本的にパーティBか個人BB以上ですから悪人や盗人は入ってきませんよ」


 というわけで宿屋『ガラン邸』に案内してくれた。

 中央冒険者ギルドにほど近くて徒歩で移動でき、キュウくらいなら同室しても問題ないとのこと。


 ガラン邸の内部は非常に綺麗で、中級以上の宿屋といったところ。

 室内は広く、シャワーやバスタブはお湯が出る。サガット同様トイレは水がでる洗浄便座で衛生面でも問題なしだ。


 バスタブでお湯に浸かり、備え付けのパジャマに着替えて整えられたふかふかのベッドに飛び込むと、一瞬のうちに眠りについてしまった。


「おはようございます、昨晩はどうでしたか?」

「いやもうぐっすり。さすが専門職員がつくような冒険者向けの施設ですね」

「私、間違えて床を水浸しにしちゃいました……ごめんなさい」


「お気になさらないでください。係のものが毎日清掃しますので。それでは事前に聞いているお話の件ですが……」


「出来そうでしょうか……?」


「ギルドでは分かりません。科学研究所と気功の先生に話を通しておいたのでそこでどうなるか、です」


「そうですか。こんどこそ、こんどこそ……!」


 アポイントを取ってまずは科学研究所へ。

 原油という物質から精製された、重油というものを燃やしている炎の吹き出るモニュメントがお出迎えしてくれた。でかい……。


 受付に用件を言うと、すんなりと部屋へ案内してくれた。


「こんにちは。私が今回の責任者のリー・チャンエンです」

「こんにちは、フィルクです。こちらがミクラです。どうかよろしくお願いします」

「よ、よろしくおねがいします……」


 ミクラは不安がってしっぽを股の間に入れている。


「色々調べますが、まずは調べるだけですのでご安心下さい」


 そしてミクラは連れて行かれた。やはり不安を隠せないな。


 今回は半日ほどで検査が全て終わったようだ。


「お二人ともお疲れ様でした。一通り調べさせていただきました」


「ありがとうございます、どんな感じでしょうか」


「結論から言うと、再生できます」


 えぇええ!?


「本当ですか、やったぁ……!!」


「私、インプラントを手に入れられるんですね!!」


 ここでリー先生は険しい顔になって、

「しかし、再生のための材料確保がかなり難しいです。まず綺麗な左手にしないといけません。それにはナツメウナドラゴンレベルの細胞が必要です。


「ナツメウナドラゴンレベル……?」


「ええ、とんでもない生物です。そしてインプラントは完全にないため作成しないといけない。可能な限り大きなモンスターコアが必要でしょう。これはダンジョンのボスか、スタンピードのボスから取り出すことしか出来ません」


「あ、持ってるかも。インプラント、排出! 。これじゃないですか?」


 そういって昔スタンピードで恐竜のボスを倒した際のコアを見せる。


「えーと、調べますね。……。そうですね、これです。でもこれは大分小さい。これじゃあモノにならないです」

 残念そうにリーさんはコアを返す。


「なるほど、でもこういうのを取ってくればいいわけですね。スタンピードを待つのは無理ですが、ダンジョンボスなら……!」


「期待しています。最後、インプラントが無いせいで体内の流れが滞っています。紹介状を書いたので気功の先生のところへ行ってください」


 次は気功の先生か。

 でも希望は見えた、見えたぞ!!

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