第17話 飲んだ後遊園地
サガット共和国の首都ムベヘラーンは、今まで見たことがないほどの都市だった。
人、人、人。そして人。こんなに人がいるところなんて見たことがない。
冒険者ギルドを探そうにも都市が広すぎて分からない。
道ばたの団子屋で団子を買って道を聞いたくらいだ。
その冒険者ギルドは、若干寂れていた。なんでも、社会基盤が整っているので冒険者ギルドの出番が少ないらしい。
「……ということで、研究しているところにアポイントが取りたいのですが……」
「ふうむ、そうですか。そうなると国立研究所しかないでしょうね。今までの功績がありますのであなたのギルドランクをBB+にする審査をします。BB+ならアポイントが楽に取れるようになりますよ」
ということで数日また……なくて、都市の観光をしたよ。
信号ってのがあって赤は渡れないとか、歩きと鉄道馬車で道が分かれていたりとか、色々と学べた。
冒険者ギルドのガイドブックにも記述があったんだけど、実際に試してみるとわかることもあるからね。
ここの人は帯刀をあまりしていない。
その代わり魔導銃や火薬式の銃をホルスターというやつに入れて携行している。
普通の魔導防御くらいなら貫通できるそうだ。技術レベルが今までとは違う……。
これは不味いと言うことで魔法屋に。マジックコートを購入。ミクラは余裕で使えるが、僕もMPやMATKが増えたのでまあ使えなくはない。器用貧乏万歳、と言うところか。
魔導防御も捨て値で売っていたのでLv五くらいまで購入しておいた。普通の戦闘なら魔導防御だしね。
武器防具は更新したばかりなので大丈夫。
武器スキルは購入制限があったので買えなかった。規制して安全を保っているとか。
さて数日経ち、審査の結果を聞くときが来た。
「フィルクさん、おめでとうございます。BB+へ昇格しました。通常の人はここで頭打ちになります。Aに上がるためにはAランクの人か、かなりの名誉がある人、王家の人などですね、そう言う方の推薦が必要になります」
「やった! ではすぐにでもアポイントを取りたいのですが」
三日後にアポイントが取れた。
ちなみにミクラはBになった! パーティギルドランクはB!
「それではみんなの昇進を祝って」
カンパーイ!
当たり前だがぼくは飲めるしミクラだって大人なので飲める。祝いのお酒を飲む機会を設けたのだ。
「ぷはー! ビールは美味しい!」
「カクテルも美味しいですよ。オレンジジュースのカクテルとか」
「そっかそっか。俺も飲もう。しかし僕は普通の人なら最高ランクにまで達したし、ミクラもついにBだもんな、決定的な強さがあるわけでもないのによくここまで来たよなあ」
「そうですね、はぁ……これおいし……」
「二人ともBB+になって、インプラントの移植を済ませて最高のパーティにしたいよな!」
「わらしは……さいこうの……かぷるに……なりたひでふ……」
バタン
「ああ、しまった、飲ませすぎたか! すいません、酔い止めポーション下さい!」
翌日、アポイントが取れた日。
「二日酔いは大丈夫かな?」
「はい、すぐに手当てしてくれたおかげでなんともありません」
「じゃあ、行こうか」
「緊張します……」
「俺もだよ。研究素材にしたら街ごと滅ぼしてやる」
研究都市マイルは馬で半日もかからない場所にあった。
ただ……。
「ここは、遊園地……?」
研究成果を元にした遊園地が一体となっていたのだ!!
「まだ時間あるし遊ぼうか」
「はい! 楽しみです!!」
観覧車に乗ったり、蒸気機関に驚いたり。本当に金を作り出しているところを見たり。
サガットは本当に石から金を作り出すことに成功したからかなり裕福らしい。
「さて時間か。国立研究所はあそこだよ」
国立研究所は訳の分からない三角形の彫刻が鎮座する不思議なところだった。
アポイントの確認をすませ、ロビーで待つ。
するとおじさん研究者が挨拶してきた。
「どうも。私が錬金研究のレン・キンだ」
「こんにちは。僕がフィルクで、こちらがミクラです。外で待っている怪獣みたいなモンスターはミクラの相棒、キュウです。ミクラに危機があったらなりふり構わずに暴れてしまうのが玉に瑕なんですよね」
一応思い切り釘を刺しておく。
「なrほど。まずは精密検査を行わせてくれ。普通の人であれば左腕が切り飛ばされても違う場所にインプラントは出現する。移植でもされない限りはな。それが移植もせずに完全にないというのは、あまり聞いたことが無いのだ」
「分かりました。くれぐれも慎重に。キュウが暴れますので」
研究所の様々な施設で精密検査を受けることになった。
二日ほどかかるので僕だけ冒険者ギルドへ戻る。
静かだ。静かすぎる。
こうも静かだと不安が心を支配してくる。
僕は知らない間にミクラの騒がしさに助けてもらっていたのかもしれない。
ミクラ……君は僕にとってどんな存在なんだろう……。
寂しいな……。
何の楽しみもない二日間が過ぎ、国立研究所へ戻る。
ロビーで待っていると、レン。キンさんとミクラが来た。
「こんにちは、検査はどうでしたか」
「申し訳ないが、最悪だという結果が出た。インプラントの痕跡が完全に残ってない。ほんの少しでもあればそれを増幅することは可能なのだが。
「そんな……」
「そいてえぐられ方も酷いな。インプラント移植術があるが、あれは同じ腕に施すものだ。ここまで酷い痕があると移植も無理だと思う」
「……」
目の前が真っ暗になりそうになる。
せっかくここまで来たのに……。
「ただ何も出来ないわけではない。錬金ではなく、気功と科学が突破口になるかもしれない」
気功と、カガク……?
「気功と科学の国ブキョーへ行くと良い。あそこはこことは違う視点で世界の物事を追求している」
少しでも可能性があるなら行くしかない。
行こう、ブキョーへ!!
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