第10話 判決。そしてそれから。

 僕たちはスキルや魔法が使用できない特別な部屋に移されて数日間過ごした。


 やることもないのでミクラのブラッシングをしていたんだけどずーっとニコニコしていたなあ。

 最近ミクラは胸回りや腰回りにも女性らしさが出てきた。

 これで身長が伸びてくれればいいんだけど、さすがに骨格まで大きくなるのは難しいかもしれない。


 ブラッシング以外にも、しっぽとお耳もふもふをしていたら、ガチャリとドアが開いて偉そうな人が入室してきた。


「判決が出た。ここで言うわけにはいかないので、判決室に来てくれ。関係者グループが別々に隔離されて、魔法もスキルも使えないから何の心配もないぞ」


 偉い人に連れられて判決室に向かう。ちょっとドキドキしてきた。せめてミクラだけは寛大な処置をして欲しい……。


 判決室に着いた。あちら側に姫とござるがいると思うが、鋼鉄かそれ以上の強度がありそうな壁で隔たれていて相手を伺うことは出来ない。


「では判決だ。ミヤコは殺人をするように仕向けたことで懲役刑だ。ゴザは殺人未遂でギルドを追放。フィルクは殺人を未然に防いでいるがそのあとは不味かった、よって厳重注意。ミクラは自己防衛として無罪。以上だ」


 よかった、ミクラは無罪だ。

 厳重注意はギルドのログに残るけど、たしか数年すれば消えるはず。良かった、本当に良かった。


そういえば勇者さんはどうなっていたのかなーって思って王家を訪ねてみたんだけど、勇者なんて目じゃないほど強い人によって半殺しにされていた。再起不能に近いな。なんで自分が最強なんて思ったんだろうか。


 つよつよ冒険者パーティが壊滅したことで後顧こうこうれいを絶つことが出来たのではないかと思う。


 本当に本当に本当にほんとーーにほっとしたので、数日間ミクラを抱いてもふもふしていた。ミクラがちょっと変な声を出していたので少し反省した。苦しかったよね。


「お金稼ぎながらインプラントの再移植の方法を探そうな!」


「そうでしゅね、の、もうもふもふやめてくだひゃい……わたしおんなのこなんでふ」


「ん、ああごめん。ブラッシングの方がよいか」


「そうりゃにゃくへー」


 いろいろなところにインプラントの再移植の情報を聞いて回ると、情報屋が寄ってくるもんでして。

 嘘情報もかなりあったけど、一番信憑性がある情報があった。


 ウェルドア辺境伯がインプラントの研究だか実験だかを極秘に行っているという話だ。

 ウェルドア辺境伯と言えば、ミクラのインプラントをくりぬいて、性奴隷一八号と名付けたくそったれな奴。

 今すぐでも乗り込みたいが、腐っても辺境伯という上級爵位持ち。街の守衛は強固だし研究実験しているならその場所は固く守られているだろう。

 一応下見はするけど正面から突破は多分無理だろうな。

 忍び系のスキルを二人とも購入して、偵察をしよう。



 二十歳と半年になるまで王都で稼ぎまくってスキルを集めた。一年が720日で一日が40時間だから相当長い期間になるね。


 ――ここだけアラビア数字を使います――

 フィルク

 Lv55

 MP:160


 ATK:331

 MTAK:162

 DEF:320

 RES:323

 AGI:386

 DEX:408


 スキル

 一刀両断:Lv4 

 ダブルアタック:Lv5 

 バックスタブ:Lv3 

 砂蹴り:Lv5

 石拾い、石投げ:Lv9

 ダブルファング:Lv4

 ピアッシングポイント:Lv1

 強打:Lv1

 強斬り:Lv1

 狙う:Lv2


 双眼鏡:Lv7

 コンセントレーション:Lv7

 気配隠し:Lv10

 聞き耳:Lv10

 ステップ:Lv7

 ハイ・ステップ:Lv3



 罠配置、解除:Lv6

 スローポイズン:Lv8

 低級鑑定:Lv8 

 男料理:Lv8


 耐性

 精神汚染耐性:Lv2

 恐怖耐性:Lv2

 閉所恐怖耐性:Lv5

 人型処分耐性:Lv10

 空腹耐性Lv6 +1

 悪臭耐性Lv5

 毒耐性Lv2

 痺れ耐性Lv2


 熟練度

 片手剣:Lv3

 短剣:Lv5

 片手半剣:Lv7

 弓:Lv6 

 肉体強化:Lv3 



 ミクラ

 Lv55


 MP:6000(体内にため込んでいる)


 ATK:50

 MTAK:1853

 DEF:51

 RES:2021

 AGI:582

 DEX:583


 透明化:Lv5

 双眼鏡:Lv8

 忍び足:Lv8

 きつねの周辺観察:Lv9

 きつねのMP吸収:Lv8

 きつねの機敏:Lv6 

 きつねの探索術:Lv6


 ――――


 透明化、気配隠し、聞き耳、忍び足……闇稼業にも使えるオーブは総じて価格が高いし、入手性が悪いんだ。かなり稼いだんだけどそれでもここまでしかレベルを上げられなかった。

 スキルオーブを何個も取り込むことによってスキルは強くなっていくんだよ。


「さてと、ここまでそろったしウェルドア辺境伯のところに行きますか。徒歩でね」


「え、なんで徒歩なんですか!」


「馬車だと足が付きやすい。あと冒険者ギルドに入ると僕たちがそこにいると言うことがバレちゃう。可能な限り潜入したいんだよね。中等教育を履修したミクラなら分かるよね」


「わかります! きつねを舐めないで下さい!」


 眠なインプラントを持っているためにごみのような値段で売られている、ダンジョンから産出されるマジックバックをいくつか購入し、携帯食料などを詰め込んで食料を確保。


 水はミクラが遂に魔法で生み出す水の方が魔法行使で減る水の量を上回る状態、通称「水収支がプラス」という状態になったので、少量だけ積みこんだ。これはかなり僕のインプラントの容量圧迫を解消できる!


「それじゃあ出発進行といこうか」


「はい、強くなった私を見せつけてやります」


これから三ヶ月ほどかけて徒歩でウェルドア辺境伯のところへ歩いて行く。

さて、辺境伯への旅は何が待ち受けているかな。

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