第5話 スタンピード後とこれから



 僕たちはプテテドゴンから出現したモンスターコアだけをインプラントに入れて、みんなが逃げている方へ向かった。

 どれだけものを捨てたといっても、詰め込まれた馬車の速度は人が走る程度しか無い。冒険者の僕たちはさほど時間もかからずに追いつくことが出来た。


「するってぇと、村はボコボコだがスタンピードは止まったんてかい」


 鍛冶屋のおやっさんがそう問いかける。


「はぁはぁ、ええ、一応は。ボスはやっつけましたし」


 そういってモンスターコアを見せる。


「おい、ばあさん」

「あいよ。これはこれは、確かにこれはモンスターコアだね。スタンピードのボスしか持っていないヤツだ。確かにこれならスタンピードを鎮圧したという話も裏付けが出来るねえ」

「なるほど。ここで本当なら上に報告して大手柄といきたいんだが……」


 全員がミクラを見つめる。


「わ、私ですか?」


「ああ、お前さんは教育も受けてねえしまだまだ栄養失調だ。そんな奴が親玉を雷一発で倒したっていって信じて貰えるか?信じたとして、研究材料にされないか?王都に向かうほど偏見の目は強くなるぞ」


 おやっさんの言うことはもっともだ。このままじゃミクラに何をされるか……


「じゃ、僕が罠を仕掛けまくって討伐した、ということで。最後の地雷は凄い勢いでしたし、もうそろそろ肉も腐ってるはずです、スタンピードの肉は腐りやすいですからね」


「まあ、口裏はそう合わせておくか」


 上手くいくと良いんだけど。



 避難した我々が到着したのは、付近の農村にとっては中核都市な「ルンゼン」という街。

 すぐに解放してくれるのかと思ったら取り調べがあって。


「つまりお前が殆どのモンスターを蹴散らしたと」


 ギラリと睨む調査官。こえー。


「はい、ゲリラ戦から村そのものを罠にするトラップを張って」


「リーダー格はどうしたんだ。プテテドゴンは普通の武器じゃ歯が立たんぞ」


「ありったけの爆薬を込めた地雷で……村を調査してみると分かると思うのですが」


「そうか……。さて、あの亜人はお前の奴隷で良いのだな?」


「奴隷だなんて、れっきとしたパーティーメンバーですよ。生活魔法なしで遠征なんて出来やしない」


「ふん、そうか。まあ隷下におかれているならよい。変なことはするなよ」


 そういうわけで僕の取り調べは解放。

 あとはミクラの取り調べなんだけど、酷い言い方だけど教育が施されていないから僕がついていくということで同意させてある。


「つまりはなれるのが嫌だったので陰に隠れて見守っていたと」


「そうなりますね。私も気がつきませんでした」


「作戦においては邪魔な行為ですね。そう言う報告をさせて頂きます」


「いやまっ……はい、そうして下さい」


(それで良いのですか?)


 そんな風な目線を投げかけてくるミクラをよそに、取り調べは終了。

 この後多少の協力金が出ることになる。


「スタンピードは自然災害に近いからね、近くにいる人はみんな手伝う『義務』があるし、お金も武器防具を補修できるくらいしか支給されないんだよね」


「そうなんですね、むずかしいです」

「そうだね、難しいんだよ」

 こういう難しさを理解して欲しいような、して欲しくないような。


 農村の人々は保護施設で保護されることになった。

 でも僕たちはただの冒険者。

 冒険者ギルド推薦の宿泊所での一ヶ月無料宿泊券が送られただけだった。

 まあうれしいけどね! 衣食住はお金かかるし!

 つよつよ冒険者パーティは亜人を見たら悪魔の子孫と言って問答無用でたたき切っていた。だからミクラを冒険者の前に連れ出すのに躊躇したけど、少なくともここの冒険者はそんなこと無かった。可愛い可愛いと言って遊んでくれる。よかった。

 さて、今のうちにやることを並べておこう


 一・インプラントの再移植を出来るための情報を探す。

 一・僕の武器をそろえる。この長めの短剣はミクラに譲れば良いだろう。

 一・僕のスキルを整える。現状ミクラは魔法らしい魔法、スキルらしいスキルが使えないので、そちらの費用は積み立てておく。

 一・生活を安定させる。


 こんなところだろう。インプラントが無い生活はこの世界では何も出来ないと一緒だ。

 最優先で情報を探したい。

 ちょっとだけ大きい街にきたので、僕の名声も聞かれるようになった。

『つよつよ冒険者パーティから無能と解雇されたクズ人間』

 だそうだ。どうとでも言え、と言いたいが、人探しやシティアドベンチャー系の依頼は出来なくなった。まあなあ。解雇された無能クズ人間じゃなあ。

 ま、今に見てろよ、っと。



「ミクラはちゃんと食べるんだぞ」

「はい、ありがとうございます!」

 ここに来て数ヶ月、最近ミクラの表情が豊かになってきてうれしい。

 ギルドが主催している初等教育講座にも通っているため、学も伸ばしている。

 僕はお金を稼ぐために一日中働いているんだが、ミクラの笑顔を見るとなんかどうにでもなる。親にでもなった気分だ。

 初等教育が終わるのはもう数ヶ月かかるのでそれまではここで生活するだろうな。


 インプラントに関してはあまり良い情報が無い。遠くの国ではインプラントの再移植をしているという話だったり、古代遺跡で再移植をしているなどだ。信憑性に欠ける。


 僕とミクラのスキルを並べておこう


 ――ここだけアラビア数字を使います――

 フィクル

 Lv35


 MP:60


 ATK:250

 MTAK:60

 DEF:375

 RES:300

 AGI:190

 DEX:250


 スキル

 一刀両断:Lv3

 ダブルアタック:Lv4

 バックスタブ:Lv1

 砂蹴り:Lv5

 石拾い、石投げ:Lv9

 ダブルファング:Lv6


 ワシの目:Lv7

 コンセントレーション:Lv4

 気配隠し:Lv5

 聞き耳:Lv5

 ステップ:Lv4


 罠配置、解除:Lv6

 スローポイズン:Lv8

 低級鑑定:Lv7

 男料理:Lv8


 耐性

 精神汚染耐性:Lv2

 恐怖耐性:Lv2

 閉所恐怖耐性:Lv5

 人型処分耐性:Lv10

 空腹耐性Lv5

 悪臭耐性Lv5

 毒耐性Lv2

 痺れ耐性Lv2


 熟練度

 短剣:Lv8

 片手半剣:Lv10

 弓:Lv5

 肉体強化:Lv1

 ――


 力仕事も行ったし、モンスター退治も行っていたので順当にLvもステータスも上がっている。

 力仕事が多かったので肉体強化を買った。肉体強化は上がると体力や筋肉が鋭く上がっていくスキルだ。上げられるのであれば上げたいな。


 ミクラには素晴らしい実力がある、でも今はそれを発揮できない。

 この間だけでも守ってあげないとね。

 そんなミクラのステータスはこちら


 ――ここだけアラビア数字を使います――


 ミクラ

 Lv5


 MP:1000(体内にため込んでいる)


 ATK:25

 MTAK:500

 DEF:50

 RES:480

 AGI:80

 DEX:80


 生活魔法群:Lv1

 ファイヤアロー:Lv1

 コールドアロー:Lv1

 ウインドエッジ:Lv1

 アースショット:Lv1

 ライトニングショット:Lv1


 固有スキル(オーブを取り込むのでは無くて使うほどに成長する)

 きつねの周辺観察:Lv4

 きつねのMP吸収:Lv4

 きつねの機敏:Lv1

 きつねの機知:Lv1

 毎日ちょっとづつだけ努力が出来る子:所持



 熟練度

 短剣Lv1

 ――――

 ちょっとだけモンスター退治したり、お仕事をしたのでレベルが上がっている。

 レベルは魔物を倒す以外にもあがる手段があるのだ。

 しかしステータスの上がりが凄い。追い抜かされているステータスもある。Lv二〇もいけば殆ど抜かされるのでは無いかな。うれしいやら悲しいやら

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