第4話

「ごめん…緒方君の話を聞くはずだったのに僕が泣いちゃって…」

溜まった分の気持ちが溢れ出し、落ち着いて深呼吸をした。それを見て撫でていた手が頭から離れた。

「いや、俺のことで悩んでくれてて嬉しい半分申し訳ない半分だから気にしなくていいよ」

「ありがとう」

勝手に悩んで勝手に泣き出した僕に引きもせず、嬉しいとさえ言ってくれた。こんなにも優しい彼が何かを溜め込んでいることが他人事のようには思えなくなっていた。自分も何か返したい、例えエゴでも彼の力になりたいとそう強く思った矢先に、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。

「緒方君さえよければこのまま緒方君の話を聞きたいんだけど、いいかな?」

授業をサボるなんて今まで考えたこともなかったのに何の躊躇もなく出たその言葉に自分が一番驚いた。

「あ…ごめん、僕今どうかしてる」

「んーん、俺も春崎君に話してみようって決意したからそう言ってくれて嬉しいよ」

そう言って深呼吸を一つ吐くとゆっくりと話し始めた。

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