第2話 失敗は成功のもと

次の日の朝、すごい早い時間に目が覚めてしまった。携帯を見るとまだ6:00だった。

休みなのにすごいもったいない感覚に襲われた。携帯にメッセージが来ていたのが目に入り、確認すると、バレー部の三年グループだった。それも5:30に起きてしまったというものだった。送り主は一希で俺も今起きたという旨を送った。すると少しして全員の返事が来ており、9:00くらいに集まることにした。

受験生ということもあり、みんなで勉強道具を持ち、町の図書館に移動した。最初はみんな勉強する気なんて起きず、一樹が持って来ていたバレーボールを図書館の横のグラウンドで使って遊んだ。しばらくして、やはり昨日の誓いが俺たちを突き動かす原動力になっており、その後は各々のペースで勉強に励んだ。俺たちは夏休みも冬休みも学校でいる時でさえ、バレー部のメンツでお互いを鼓舞し、第一志望校を目指した。冬休み明けに最後の模試が返された。俺たちは集まって見ることにした。ドキドキしながら結果を見ると、努力の甲斐があり、みんなそれぞれA判定が出ており、偏差値も60以上を全員が叩き出していた。でも俺たちはすぐに喜ぶのをやめた。全員が口を揃えていった。

「ここからまた気を抜かず、舐めずにやるぞ。もうあんな目にはあってたまるか。」

そこからも俺たちは全員が公立の志望校だったので、そこに向けて以前よりもギアを上げ勉強に励んだ。結果、全員が第一志望校に合格することができた。俺たちは喜びに浸った。真っ先にみんなで顧問の先生に連絡した。顧問の先生は泣きながら、過去の失敗から学び、励んだことを褒めてくれた。

先生に連絡した日の夜、ファミレスで祝賀会をバレー部3年ですることにした。親も来ており、親と俺たちで別れてそれぞれで食事をした。その時俺たちは高校のことを話した。

「翔琉と壮太は県で3番目に頭いい公立に行ったんだもんすげーよなぁ。他はみんなバラバラかぁ。でも、あの負けが今の俺たちを作ったんだよなぁ…」

としみじみ、幸助は言った。

みんな納得しながらも一つ懸念を考えた。

その中で一希が口を開いて、

「俺たち、高校は別々でもまたこうして会ったり、遊んだり、勉強したり出来るよな?」

みんなが思いっきり笑って、

「大学受験の勉強だって、このメンツでやろうぜ。もちろんこれから今みたいな頻度で会うのは難しいにしろ、休日はみんなあるんだ、絶対に会えるよ」

とその中で壮太が口ずさんだ。

それを聞いてみんな一層笑顔になって、そのままメチャメチャに盛り上がって祝賀会を終えた。その後も俺らはこまめに連絡を取ったり遊んだり、高校の勉強したり、バレーしたり、高校入学までを存分に過ごした。

そして、4月、満開から少し過ぎた桜が咲く中で俺たちはそれぞれの高校の門をくぐった。

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