噂の真相 2
瑞稀からの相談を受けたその日の夜。
満月タヌキがサイドテーブルの上に座り、試験勉強を教えくれていた。
けっこう解りやすくて良いんだけど、“豆狸(タヌキ)”に勉強教えてもらうってのも、なんだかねぇ……
休憩中に、今度は満月タヌキから相談を持ち掛けられた。
「えっ?“ペンション(ウチ)”のお客さんに見張られてる?」
「あのお客、ワシと徳がバイトしてるのを、ジーーと見とるんじゃ……
まさかワシらが豆狸じゃとバレたんじゃろうか?」
たぶん違うと思うけどなぁ。
「えっと…確か何か物書きをしてるって言ってたし、ネタでも探してるんじゃない?それに満月も徳さんも、無駄にイケメンだから!」
「そうかのぅ?そう言えば今日、アヤメが来て何やら意気投合しちょったな。
【“オニレン(※1)”】がどうとか言うとったぞ。」
「【オニレン】ファンなんじゃないの?それよりこの問題が解らないんだけど?」
「ああ…ここは、この公式を当てはめて…… 」
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翌日、満月タヌキが気にしているお客さん、彼女…【大谷愛子】さんが、珍しくモーニングを食べに降りて来ていた。
もちろんこの時間帯は、徳さんも満月もお店に来ていない。
私も急いでモーニングを食べて、学校へ行こうとしたら、彼女から『少しだけでいいから話しを聞きたい。』と呼び止められた。
「ごめんなさい。これから学校なんで、帰ってからでいいですか?」
「あ、そうよね……
こっちこそ、ごめんねー。じゃあ帰ってからって事で!
いってらっしゃい♪」
「いってきます。」
いったい何の話なのか気をなったけど、遅刻する訳にもいかないので、急いで登校する事にした。
今日は珍しく、私より先に坂野君が登校している。
教室に着いて暫くすると薫ちゃんとがやって来て、何時も通りに町の噂を教えてくれた。
「おはよう2人共!ねぇねぇ、理子ちゃん“家(ち)”の近くの“溜池(ためいけ)”に、“ずぶ濡れの幽霊”が出たってホント!?」
うわぁ…あの噂、薫ちゃんの所にまで届いてたんだ……
「おはよう薫ちゃん。残念ながらそれ、幽霊じゃなくて溜池に落ちたウチのお客さんだよ。」
「えぇーそうなの?な~んだ残念……
試験明けに、調べに行こうと思ってたのになぁ。
でも、その人よっぽどドジなんだね。」
「どゆこと???」
「えっ?だってほぼ毎日、目撃例があるのよ?」
「ウチのお客さんが、溜池に落ちたのって、4日前の夕方だけよ?」
「えっ???」
「つまり山根のとこのお客が原因の噂と、勝屋が聞いて来た噂は、別の話って事だろ?」
「「なるほど!!」」
坂野君の発言のおかげで、スッキリした。
「じゃあやっぱり、試験明けに調査しに行かないとね!」
とここまで話たところでチャイムが鳴り、続きは昼休憩に話す事になった。
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(昼休憩)
3人で昼食をとりながら、朝の続きを話した。
「『ずぶ濡れの幽霊』の話、聞かせてくれよ!」
そう坂野君に急かされて、薫ちゃんが教えてくれた噂は実は2種類あったのだ。
1つはウチのお客さん、【大谷】さんが落ちた水源地の手前にある溜池の【音池】の噂。《解決済》
2つ目はウチから確かに近いけど、【音池】とは逆方向にある【猿池】と言われている溜池。
こっちの方が圧倒的に『ずぶ濡れの幽霊』の目撃例が多いそうだ。
「まぁどっちみち試験明けじゃないと、動けないかな。」
「そうだな。中学の範囲も出るんだろ?俺、頑張らないと、ヤバいんだよなぁ。何しろ受験の時は、付け焼き刃だったから…… 」
「皆んなそんなもんじゃない?」
「そうだ!良かったら2人共、今日ウチに寄って行かない?徳さんと満月が作ってくれた問題集があるから、コピーして持って帰ったらどうかな?」
私の提案に2人は大喜び!
「「いいの(か)?」」
「じゃあ、帰りに寄らしてもらうね!」
「俺、国語苦手だから助かる!」
そんな話をしていたが、坂野君が別の噂話を振って来た。
「そう言えば、佐藤(先生)の話聞いたか?」
「あぁ『来学期から担任外されるかも知れない。』って話でしょ?」
「それで最近元気ないのね?」
「ベテラン教師だからって、アレは無いわ~。もう少し、生徒を信用して欲しかったわよね?」
「最初から俺の事、疑ってたもんなぁ。」
その所為であれ以来1年生は、私達地元組と他の地域から来てる子達との間で、微妙な溝ができてるのよね。
学校としても大問題だろうなぁ……
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※1
【地獄戦隊オニレンジャー】
閻魔大王の命を受けた側近、
☆この番組はフィクションです。
実際には放映されていません。
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