コンビニの訪問者 6
暫くすると薫ちゃんが、機嫌良さそうに教室に入って来た。
「おはよー理子ちゃん。三波さんの話聞いた?もしかして、やっと《スクモ様》の霊力が戻ったとか!?」
「なんか違う気がする……
どっちかというと、タヌキに化かされた 様な感じかな?」
「そうかなぁ?ところで徳さんと満月さんって何が好きなの?」
「どうしたの急に?」
「昨日、私達の同好会活動に付き合ってくれたから、そのお礼をしたくて。」
「2人の好きな物ねー。《日本酒》と
ウチの“豆狸(タヌキ)”が好きな物は、《日本酒》……
しかもこの町のお酒を、こよなく愛している。
でも私達はまだ未成年なので、買う事は出来ない。
「そういうのは、全部終わってからでいいんじゃない?それより、どうやって“あの子達”に謝罪させるかよ?」
「それなんだけど…ちょっと思い付いた事があるのよね。詳しくは、同好会の時に説明するわ。」
そう言って薫ちゃんは自分の席に着き、バックからノートを出して、何かを真剣に書き始めた。
坂野君は遅刻ギリギリで教室に飛び込んで『セーフ!』と言いながら席に着いていた。
Sホームルームの時間。先生はまた昨日の話をしながら、坂野君の方を見ている。
坂野君はそれを、無視する事にしたらしく先生と目を合わせ様としない。
坂野君の為にも、早くこの事件を終わらせてあげないと……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、放課後……
学校ではなく、私の部屋で話す事になった。
薫ちゃん曰く『壁に耳あり障子に目ありよ!学校では、誰が聞いてるかわからないでしょ?』。
テーブルの上には、さっきお母さんが持って来てくれた、コーヒーと開発中の酒粕マカロン。
薫ちゃんはそれをパクパク食べながら、計画の説明をしてくれた。
因みに今日はお店の定休日なので、徳さんと満月は居ない。
「私が考えた作戦…名付けて、《視えぬなら、コスプレして見せてあげよう大作戦!》よ!」
「コスプレ?誰が?」
「理子ちゃんに決まってるじゃない。《スクモ様》がお怒りになっているのを、あの子に説明するのは理子ちゃんより私の方が適任だわ。」
「えー!私がやるの?」
「だって坂野君は男だし。衣装の事は心配しなくて大丈夫よ。そういうのが得意なお友達に頼んで、手持ちの衣装を改造してもらってるから。」
そういう問題じゃないのよ!私がコスプレって!!
この前、薫ちゃんのコレクション見せてもらったけど、あんな恥ずかしい格好を私にしろと……
「それでね。なんか三波さんってば倉本先輩の事が好きなんだって。それで先輩に協力してもらって、待ち伏せ場所に誘き出してもらうの。それで《スクモ様》のコスプレした理子ちゃんをロープで吊り下げて浮遊してる様に見せかけるのよ。」
しまった!もう私がコスプレするのが、決定事項になってる!!
こうなったら、薫ちゃんに反論しても無駄。話はどんどん進んでいく。
「坂野君は今回、表に出ない方が良いと思うのよね。」
「なんで?」
「先生達が疑ってるのもあるし、理子ちゃんをロープで吊り上げるのに男手がいるもの。満月さんだけじゃ無理だと思うのよ。」
「………… 。」
それって私が重いって事?失礼な!
そして満月!いつの間にか参加する事になってるし!!
「別に理子ちゃんが、重いとかじゃないのよ。よく推理ドラマなんかで、男の犯人が被害者を自殺に見せかける為に、1人でロープで吊り上げたりしてるけど、アレってけっこう大変だと思うの。スムーズに引き上げるには、もう何人か欲しいわね。」
「じゃあ“六(りく)”と徳さんに頼んでみる?」
「“六(りく)”って徳行寺の?」
「うんそう。あの二人なら手伝ってくれるわ。」
「あの人達なら大丈夫かな…… 。とりあえず、計画書は今日中にPCに送っとくから、見といてね。」
そう言って薫ちゃんは、昨日とは逆に家のお母さんに車で送られて、帰って行った。
大量の酒粕マカロンを持って。
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