第13話 切れ長の瞳

「勝利♪勝利♪大勝利なのさー!」


「もぐもぐ。うん、おいしい?ね」


初戦勝利のパーティーは当日の夜に開催させた。

さっきまで魔力切れでぶっ倒れてたヤリスもうまい飯と酒ですっかり回復したようで、ティナのバカ騒ぎにつられるようにテンションが高い。


「ひかるよ。おぬしも混ざらぬのか?」


「俺は、ちょっとな。」


そういやシャルティア、さっきからちらちらと俺の方を見てたな。

まあこんなに日にテンション低い奴がいれば気にもなるか。


…。


シャルティアに俺の失態をばれてない…なんてことないかなぁ。


「な、なあ。俺のことなんか聞いたか?」


シャルティアは体育座りの俺の横にちょこんと座る。

香水でも振っているのか、戦争直後にも関わらずふんわりといい香りがした。


「う~ん。おぬしのことなら先ほどノルンの奴がべらべらと語っておったのう。」


オワッタ…。


ノルンのやつ、俺の粗相に気づくなり、今の今までいじり倒してきやがった。


「そうか…。なんか俺体調悪いみたいだから部屋に―」


惚れたぞや。」


「え?」


立ち去ろうとした俺の後ろから裾をちょんちょんと引っ張られる感覚が伝わってきた。


「ぬしに惚れたぞと言ったのじゃ」


心臓が高鳴る。


「なんで…。だって俺、あんなに見え切っておいて—」


「怖かったのじゃろう?」


そういうと今後は俺の小指をきゅっとつかんだ。


「あれほどの軍勢じゃ。怖くないやつなどおるはずがない。


そんな中おぬしは勇敢…とか言えずとも最後まで責務を果たし、皆の期待に応えたのだ。


これ以上でも以下でもないじゃろ?」


振り向くと切れ長の瞳をにこりと細めたシャルティアがいた。


「シャルティア…。」


「おぬしはわしの婿殿じゃ。格好良くないわけがなかろう?

?」


「うん。その通りだな。」


シャルティアは本当にすごい。

この娘と一緒にいるだけで俺まですごくなれる錯覚までしてしまうほど。


「シャ~ル~、抜け駆けだめじゃない~♡」


「おい、ノルン!酒臭い!離れるのじゃ!」


シャルティアは本当にすごい。

俺もちょっとでもいいから強く—


「シャルティア」


俺の呼ぶ声にくるりとこちらを見てくれた。


「俺もシャルって呼んでいいか?」


「え、ど、どうしたのじゃ急に!」


「俺もきみともっと仲良くなりたいから、かな。」


「そ、そういうことなら好きにするが良い。


…。


ほら、元気ならおぬしも今宵を楽しまぬか!」


シャルティアは片腕で顔を覆い隠しながら、俺をみんなのところへ引っ張っていった。


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