第9話 変化

あの裁判の日から1か月…。


シャルティアの許可も得られたことだし、俺のハーレムが遂に始まる!!

…と本気で信じていた頃が懐かしい。


あの裁判の数日後のことだった。


魔女ヤリスの身体に大きな変化がうまれていることが分かった。

簡単に言うと、【魔力の質】に変化が起きたらしい。


それによって霧魔法に変化が起き、対象の体内にもやを出現させる能力が強化したらしい。


以前この能力でシャルティアの脳にもやをかけて強烈な眠気を生み出したとか何とか言っていたが、今は脳の操作や記憶の改ざんなどもできるようになったらしく試していないだけで他にも色々と変化はありそうみたいだ。


「はあ、俺の遺伝子よ。もう少し普通であれ…。」


「どうされました、ひかる殿。」


「いや、なんでも。それよりなんか悪いな、シエラ。俺なんかの護衛役なんかにさせちまって。」


「よいのですよ。これもシャルティア様の命。謹んでお受けします。」


シエラの真面目さは時に心配になる。

現に謁見の間では皇帝の命令とはいえ、簡単に命を投げ出してしまう。


「とは言え、シエラがいてくれて助かるよ。やっぱり一人でいるのも怖いしな。」


俺の存在はシャルティアによって帝国全土に知れ渡った。

これも俺の自由恋愛?のためだとか。


だが、ヤリスの劇的な変化に加え、突然の男出現報告による国内のプチパニックがあって俺は城からも出れず、事実上の禁欲生活を強いられている。


「はあ、暇だ…。」


「遊ぶ?それとも気持ちいいのがいいかな?」


「ふわあ!」


「相変わらず可愛い?反応するねキミ」


ヤリスはいつも俺の背後に周り抱きついては体の一部をちょこっと触る。


今日は左乳首であった。


ごちそうさまです。


「それでヤリス殿、この度はどのようなご用向きで?」


「くすり?が完成したの。」


「おお、素晴らしい!こんな短時間に、これが幾年生ける霧の魔女の力ですか」


「うん、完成したよ?“孕ませ薬”」


そう、俺の精液100%の錠剤は、飲むだけで孕む。


「つ、ついにか…。」


「やりましたね、ひかる殿!これで世界は救われますよ!」


「そうだな…。う、うれしいな…。」


「そんな泣くほど嬉し?キミが喜ぶと私もうれしい?」


「…。」


「ひかる殿?」


—くそがぁぁぁぁああああ!!!!!!


なんてこった!


飲むだけで孕む?

もう俺いらねえじゃん!


早くも世界救っちまったよ!

世界で男一人っていう公式ハーレムで俺はチャンスを逃したのか!?


「キミ?どうしたの?」


「いや、なんでもないよ。世界・平和・万歳」


はあ、せめてシャルティアと一発やりたかった…。

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