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「先生、ほんと優しい。好きです!」
思わず口からこぼれたもう何度目かわからない告白に、梶先生は初めて笑って答えてくれた。
「ははっ、いつもありがとう。真帆さん」
びっくりして顔が一気に真っ赤になった。そんな私を見て、逆に梶先生が驚いた顔をする。
「どうしました?」
「いや、あの、名前で呼んでくれたので」
だって今まで一度だって名前で呼んでくれたことはなかった。いつも“杉浦さん”って、名字だったのに。
すごく、嬉しい。
「名前を呼んだけでそんな反応されると、こちらが恥ずかしくなりますよ」
先生は困ったように眉を下げた。
私はぐっと拳を握って気合いを入れると立ち上がった。
「先生、私、学生生活頑張ります。今は相手にしてもらえないかもしれないけど、立派な大人になって、絶対先生を振り向かせてみせます!とりあえず修学旅行楽しみます。先生ありがとうございます!」
早口で捲し立てるように宣言をすると、私はその場から逃げるように立ち去った。恥ずかしさと緊張でどうにかなってしまいそうだったからだ。
「……まいったな」
口元を押さえてため息が出た。
ストレートな気持ちは何だかむず痒い。
去っていく彼女には聞こえていないだろう。
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