第二章 生と死の狭間で


そんな中、ただ一人、秋彦の側を離れず、普通に話し掛けてくる少女がいた。

それが、華奈である。


華奈も最初は、驚いていたが今では、普通に接してくれる。

秋彦も、華奈には、心を許していた。


一度、華奈に、こんなことを聞いたことがある。


「俺のこと…気味悪くないの?視えるってだけで、みんな、気持ち悪いと離れていく…。」


そんな秋彦の問いに、華奈は、明るく笑って、こう言った。


「えっ?何で?気味悪くないよ。だって、視えてなくても視えてても…アッキーは、アッキーじゃない。」


華奈の一言で、秋彦の心は、随分と救われた。

その日から、秋彦も、人と話せるようになり、笑うことも出来るようになった。




「ねぇー、アッキー。今日、カラオケ行かない? 」


いつもの明るい笑顔で、そう言った華奈を見つめ、秋彦は、小さく呟いた。


「ありがとう。」


「えっ?何?何がありがとうなの?」


キョトンとした顔で見つめる華奈に、秋彦は、クスッと笑う。


「何でもない。」


「何よ〜!気持ち悪い〜。」


笑いながら華奈は、秋彦の肩を小突いた。


どんな力があろうと、自分は、自分なのだ。

何も、変わらない。






ー第二章 生と死の狭間で【完】ー

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続・視えるんです こた神さま @kotakami

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