第二章 生と死の狭間で
退院した秋彦は、すぐに学校に通えるようになった。
最初は、友達も出来たし、楽しい中学生活を送っていた。
しかし、秋彦の視える力の為、度々、変な言動する彼に、周りの人々は、次第に不気味さを感じ、一人、一人と離れていった。
ある日。家で家族揃って、夕飯を食べてた時に、父親が、こう言った。
「秋彦…。お前、一度、病院に行ってみるか?」
「病院?何で?俺、どこも悪くないよ。」
「いや.........そのう…。」
言いにくそうに呟き、父親は、口を閉ざした。
母親は、悲しい瞳で、秋彦を見つめる。
「あなた、時々、変なことを言ったり、線香を持って、ブツブツ言って、変な行動してるでしょ?…近所の方々も、そんな、あなたを心配してね。それで.........。」
「…何?俺が頭がおかしくなったとでも、言いたいの?」
「そうじゃなくてね…事故の時に、頭を強く打ったのかもしれないし…ほら、あなた、たまに頭がフラフラするって、言ってるでしょ?」
秋彦は、箸を置き、ゆっくりと立ち上がった。
「大丈夫だよ、母さん。俺.........何ともないから。」
そう言って、食卓を離れ、出て行った秋彦を両親は、心配な面持ちで見つめていた。
『 こんなこと…話しても、誰も信じてくれない。みんな、頭がおかしいと思い、離れて行くだけ。』
秋彦は、次第に無口になり、周りの人間から距離を置くようになった。
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