第二章 生と死の狭間で


ハッと目覚めた秋彦は、心配そうに覗き込む両親の姿を瞳を震わせ、見つめた。


「秋彦!良かった…!」


母親は、泣きながら、そう言った。


「ここは…どこ?」


瞳を震わせ、呟く秋彦に、父親は、言う。


「ここは、病院だ。お前、事故にあって、意識不明だったんだ。」


「事故.........?」


秋彦は、何も覚えていなかった。

ただ、あの鬼の顔だけがはっきりと、脳裏に残っていた。


「奇跡だ…。あれだけの事故で、擦り傷程度…。意識だけが戻らなかった。秋彦君、君は、一週間、ずっと眠り続けていたんだ。」


両親の側にいた白衣を着た医者がそう言った。


『 一週間.........。ほんの少しの時間に感じたけれど。.........それにしても、あれは、何だったんだ?夢なのか?あの男の子は…どうなったんだろ.........?』


そんなことを考えていると、秋彦は、再び、眠りに落ちていった。

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