第二章 生と死の狭間で


「鬼が来るよ!」


「鬼?」


眉をひそめた秋彦に、男の子は、川の近くにしゃがみ込み、石を積み出す。


「一重、積んでは父の為…二重、積んでは母の為…三重、積んでは西を向き.........。」


そう歌いながら、男の子が石を積んでると、辺りが次第に暗くなってきた。


「鬼が来る…鬼が来るよ!積んでも積んでも、鬼が石を崩すんだ!」


ズーンズーンと地響きが聞こえる。

震える瞳で、そちらを見た秋彦は、目を見開き、声を震わせた。


「お…鬼だ.........。」


大きな身体をした鬼の姿を見上げ、秋彦は、腰を抜かす。

鬼は、石を積んでる男の子の側に近付くと、積み上げた石を蹴り崩す。

男の子は、泣き叫び、再び、石を積み出す。


「や、やめろ!!」


そう叫んだ秋彦の方を鬼がギロリと睨む。火のように赤い目と裂けた口をした鬼の顔。

秋彦は、息を飲む。


鬼が秋彦の側に近付いて来る。

秋彦は、身体を震わせ、声を張り上げた。


「く、来るなー!!」


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