第一章 彷徨える魂


秋彦が教室に戻ると、華奈がふくれっ面で、近付いてきた。


「もう!アッキー!どこに行ってたのよ!急に、いなくなっちゃって。探したんだからね!」


怒鳴る華奈に、眉をひそめ、秋彦は、学生服のポケットから、線香を取り出す。

それを見て、華奈は、眉を寄せる。


「何よ、それ?」


「悪霊退散。」


秋彦の言葉に、華奈は、顔を真っ赤にして、両手を上にあげる。


「誰が悪霊よ!もう!」


「やべっ。悪霊には、線香は効かないらしい。」


秋彦は、慌てて、教室を飛び出して行った。


「待てー!秋彦!」


ドタバタと、廊下を走る二人。また、いつもの賑やかな時間が戻った。




ー第一章 彷徨える魂【完】ー

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