国立ユイナーダ学園高等部④〜どうやらアタシがいないうちに全部終わっていたようですね

砂月ちゃん

どうやらアタシがいない間に全部終わっていたようですね

皆んな~こんにちは♪

ユイナーダ学園のヒロイン魔術科のキヨミナよ♪

アタシの容姿は、ピンクの髪に空色の瞳で小柄♪

まさにヒロインって感じなの♪



そんなアタシの今の悩みは、なかなか彼氏ができない事。



もう17歳だし、早く相手をみつけて玉の輿を狙わなきゃヤバいのよねー。



だから転校初日に、同じ魔術科の天才って言われてる人を探したけど、見つからないし!



女に囲まれてる、背が高くて格好良い人がいたから、アタックしたら女だったし!

男よりモテる女って、何なのよ!



錬金科の天才は研究室から、出て来ないし!



土木建築科は、ムサイ奴ばっかだし!

文官科は、勉強ばっかりしてて相手にしてくれないし。



特進科は、身分の高い人ばっかりだから、警備が厳しくて近づけなかった。



狙い目は、やっぱり騎士科かしら?



それに最近クラスで何か浮いてる気がするのよね……



だから学園の中庭に1人でいたら、背の高い騎士科の先輩が話しかけて来たの♪



「大丈夫か君?

随分悲しそうな顔してるけど何かあったのか?」



そっと見てみたらビックリ⁈

この人、【騎士科の王子様】じゃん‼︎

しかも何かチョロそう♪

ラッキー♪



『騎士科最強』とか『卒業後は、近衛騎士団間違いなし!』って言われてるし、とりあえずコイツにしとくかな♪



「⁇」



潤んだ目で見つめ

「すいません……大丈夫です。」

そう言いながら泣きながら走り去った。

(もちろん嘘泣きよ♪)

この後どうしよう?

全然思いつかないんだけど……



教室に着いてアイツを落とす方法を考えてたら、隣の席のオタク女が、小説書いてるノートの事を思い出したの♪



あの女、確か生意気に『恋愛物』も書いてるって言ってたわね!

これは、利用できるわ♪



「ねぇエミールさんって小説書いてるんでしょ?」

そう話しかけると

「えぇ、そうですよ。

もし良かったら読みますか?」

「いいの♪嬉しい♪♪」

「構いませんよ。

読んでもらって、おかしな所がないかチェックしてもらうのも良いですから。

それと私のことは、エミールで良いですよ。

クラスメイトですからね。」

「やった♪ありがとうエミール♪」

「え、えぇ……。」

ふふっ♪これでアイツを落とせるわ♪♪



それからアタシは、毎日オタク女の書いた小説を読み、書いてある通りに行動した。



さすがに名前何かは、実際に合わせたけどね♪



すると面白いように男達が引っかかり

「キヨミナちゃんまたエミールっていう貴族 にイジメられたの?

可哀想にこのお金で破られた教科書を買いなよ!」

「こんなに優しいキヨミナちゃんをイジメるなんて酷い女だ‼︎

コレは、盗まれたお母さんの形見のペンダントの代わりにはならないかもしれないけど、受け取ってくれるかい?」



そう言って皆んなが、アタシに貢いでくれたの♪



「皆んなキヨミナの為にありがとう♪

キヨミナどんなイジメにも負けないわ!」



ちょっと潤んだ目で、見つめ返すだけで、大儲け♪

チョロいわね♪



近いうちにまた『換金』して来ようっと♪



そして終に、あの【騎士科の王子様】レオル先輩を、落とす事に成功したわ♪



「キヨミナ‼︎好きだ!俺と付き合ってくれ!」

「はい♪先輩♪♪キヨミナも先輩の事大好きです♪♪」



こうしてアタシは将来出世間違いなし、の彼氏をゲットしたの♪

それから毎日皆んなの気を引く為にイジメを自作自演したわ‼︎



コレがけっこう大変で疲れるのよねー。

たまには、のんびり1人でショッピングでもしたいわ♪



そうだ‼︎今日は、授業サボって王都に買い物に行こうっと♪

皆んなが貢いでくれた宝石やアクセサリーを売って、もっと貴族令嬢に相応しい高くて綺麗な服を買うの♪♪



今の時間なら、近くから王都行きの馬車が出てるしね♪

そうと決めたら早く行かなくちゃ♪♪



まさかその行動が、命とりになるなんて、その時のアタシは考えてなかったのよ……



翌日、学園に行ってみると、校内は大騒ぎになってた。



チリンチリン♪♪



「号外、号が~い‼︎

エミール様悪役令嬢事件の真相がわかったよ!

何と全ては、自称ヒロインの自作自演‼︎

詳しい事は、この号外を読めばわかるよ~‼︎」



「【名探偵タークの冒険】緊急増刊号も売店特別ブースにて発売中だよー♪♪」



えっ⁈何コレ?



アタシがその場で固まってると、いつの間にか、黒い腕章を付けた人達に囲まれてた。



「魔術科二年のキヨミナだな?」


「我々は、学園風紀委員会の者だ‼︎」


「校則違反と詐欺罪、王族への不敬罪で風紀委員会室に同行してもらうよ‼︎」


「証拠は、上がってるんだ‼︎

僕らを騙そうとなんて考えない事だね‼︎(本当は、僕が解決したかったのに!)」


「金返せよ‼︎」



どうやらアタシがいない間に全部終わってたみたい……



ところで王族って誰の事よ⁈



この後アタシは風紀委員会の奴等に捕まって、いろいろ取り調べを受け、皆んなについた嘘がバレちゃって、学園を退学になったの。

仕方なく家に帰ったら、禿げオヤジがカンカンに怒ってて



「お前を引き取ったのは、間違いだった!今すぐ出て行け‼︎」

って言われたの!



何よ!あんたが学園で、『金持ちか出世しそうな良い男捕まえて来い』って言ったんじゃん‼︎



良いわよ‼︎学園じゃ上手くいかなかったけど、町にだって金持ちはたくさんいるし!



アタシのこの可愛いさを使って成り上がってやるわ‼︎

見てなさい‼︎


―――――――――――――――――


*キヨミナ(17歳)魔術科

【騎士科の王子様】や金持ちの男子の気を引く為に

隣の席のエミールの小説を丸パクリして

自作自演したアホの子。


エミールの事をずっと女だと思っていた。


いくら本人が許可したからといって、本当にエミール殿下を呼び捨てにしたのは、彼女だけだろう。



*レオル先輩(18歳)騎士科

【騎士科の王子様】と呼ばれていたが

この騒動後は、【騎士科の残念王子】と呼ばれている。


『近衛騎士』の話しもあったが『ハニトラ』に弱い事が判明した為、保留になった。



*エミール(17歳)魔術科


キヨミナが探していた『魔術科の天才』とは、彼の事だった。

髪型は、長髪を後ろで三つ編み一本にしている。


レオル先輩が図書室でエミールとサーラを間違えたのは、小説内の悪役令嬢の容姿がサーラをモデルにしていたから。


噂の段階でサーラにバレてます。


もちろん『王族』は、この人‼︎


たとえ王位継承権が低くかろうと一応『殿下』である!



*背の高い女


【淑女科の王子様】キイナ様



*錬金科の天才


【名探偵ターク】こと、錬金科の僕っ娘タークちゃん♪

女の子なので実は、最初から対象外だった‼︎



【風紀委員会】


ユイナーダ学園の秩序と平和を守る正義の味方‼︎

たとえ王族でも彼等には、逆らえない‼︎


*幻の悪役令嬢魔術科のエミール


騙された男達は、魔術科のエミール殿下と別に、『エミールという貴族令嬢がいる』と思っていた。

(レオル先輩を除く)


*キヨミナは、気づいていないが彼女がこれから落とそうとしている『町にいる金持ち』は学園関係者か、その身内である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



国立ユイナーダ学園高等部⑤~どうやら職員室は騒がしいらしい


に続く!

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