ここまでのあらすじ

 皆様お久しぶりです。澪標みおです。

 前回の更新から1年近くが経ってしまいました。この間、本作を更新できずにアナウンスもなく放置してしまったことにつきまして、深くお詫びをさせていただきます。大変申し訳ありませんでした。

 更新していない間も多くの方に読んでいただき、とても嬉しく思っております!

 

 本作品は「第9回カクヨムWeb小説コンテスト」に応募中です。既におよそ12万字なので、字数的には全く問題ありません。★、♡、ブックマークなど応援いただければ幸いです。よろしくお願いいたします!


 あらすじを読む必要のない方は次ページの「第5章 逆襲の妹たち・第56話 結衣花さんとの間接キス」へ早速どうぞ!



【最新話(第55話)までの簡単なあらすじ】


〈第1章 夕島結衣花との出会い〉

 父親・三樹かずきがジャカルタに二年間海外出張することになったシングルファザーの笹木ささき家。侑比野ゆうひの高校に入学したばかりの僕こと笹木孝樹ささき こうきは困っていた。

 反抗期を迎えている中学三年生の長女・雪奈は料理スキルが壊滅的で未だに卵も割れないし、深刻な厨二病を発病している中学一年生の次女・澪奈は『皿を破壊せし魔術師ディッシュ・クラッシャー』を自称するほど洗い物スキルが絶望的なのである。何もかも平凡で忙しい僕は、家事代行サービスを頼もうかとも、あるいは父に相談しようとも考えた。

 しかし、毎月のお小遣いが増えるとはいえ高額なお金がかかるし、2年前に元母親の不倫が発覚したこともあり、主婦が多いらしい家事代行サービスを頼むことは難しい。また、父は仕事がかなり忙しく、家のことでわずらわせたくはない。

 そこで、実は『みおな†全能なる我が暗黒の右腕†』というアカウント名で活動している人気絵師の澪奈に作ってもらった『家事をやってくれるメイドさん募集!』というポスターを、僕は高校の掲示板に貼りだした。日給はたったの2000円だし、「お手伝いさん」と書くはずが澪奈に「メイド」などと書かれてしまったので、正直僕は諦めていた。

 しかし、ポスターを貼って三日が過ぎたある日、僕の左斜め前の席に座っている校内随一の美少女・夕島結衣花ゆうしま ゆいかさんが話しかけてきた。実は僕がポスターを貼るところを目撃していた彼女は、家に来ることになった。僕がとんでもない美少女を連れてきたのを見て取り乱した澪奈だったが、最後は「――夕島結衣花と言ったな。貴様が我が兄のメイドということは、我が眷属ということでもある。なぜなら我が兄もまた、我が眷属に他ならぬからだ。よって……その、我の忠実なる僕となって、我に仕えよ! さすれば――貴様を我が家の一員として認めてやらんでもないぞ」と言い放った。失礼な言葉だったけれど、結衣花さんはなぜだか少し嬉しそうな、そして儚げな表情で、澪奈の手を取ったのだった。ちなみにその裏では、雪奈が夕島さんに対して劣等感をこじらせていたことを、その時の僕は知らなかった。

 ボディタッチが多い結衣花さんは学校での印象に比べて、かなり茶目っ気がある人らしい。夕島さんが作ってくれた親子丼はあまりに美味しくて、ちょうど帰ってきた父も含めて一家全員胃袋を掴まれてしまった。夕食の席で、彼女はぽつりと「実は私……家から出たいんです」と言った。どうやら母親とあまりうまくいっていないらしい。みんなで彼女を励ました翌日、羽田の空から父を乗せて飛び立っていった飛行機を見送りながら、メイドとして新たに加わった結衣花さんとの新生活が始まった。


〈第2章 美少女メイドがいる日常〉

 高校に入学して二週間、僕と結衣花さんで夕食の買い出しに来ていたところを、僕たちが所属している一年四組の学級委員長・寺島羽瑠愛てらしま はるあさんに見られてしまった。学校では、お互いに必要以上の接触はなるべく避け、お互い名字で呼ぶことになっているのに、名前呼びをしていることもバレてしまった。良い言い訳が浮かばなくてごめんと後で結衣花さんに謝ったところ、彼女に「……ばか」と罵られた。

 まだ12歳の澪奈に相談するという屈辱の後、散らかっている彼女の部屋の片付けを始めたその時、本棚が倒れ込んできた。それを押さえて助けてくれた結衣花さんに、思わず素の口調が出てしまった澪奈は、感謝の言葉を口にしながら照れていた。

 お風呂に入っている磨りガラス越しの結衣花さんにどきどきしながら宅配を受け取る。彼女がネットで注文したのは、深い谷間が覗くワンピース型のメイド服と白ニーソ。あまりにも大胆な格好に、思いがけず盗み見ていた雪奈にも彼女が僕に好意を抱いているのではないかと言われたが、僕には過去のトラウマがある。

 時間が遅くなったので、雪奈の部屋で泊まることになった結衣花さん。ピアノを習っている雪奈に念願叶ってピアノを弾かせてもらった彼女は、ずっとしたいと思ってきた夢に改めて気づかされ、思わず泣いてしまった。

 結衣花がメイドを休んだ日、雪奈はやって来て皿洗いを手伝ってくれた。効率よく終えられたので僕が感謝すると、彼女は嬉しそうにしてくれた。洗濯しようとして洗面所に入ると、下着姿の澪奈と鉢合わせたが、次女は平然として一緒に入浴しようと誘ってきた。狭い浴槽の中で密着し、思わぬ色気と妹の成長を感じながらも、実は彼女が寂しがっていたことに気づかされ、時々は一緒に入ることにした。一緒にラーメンを作ってくれた雪奈は遂に卵を上手く割れるようになり、ハイタッチまでしてくれて、雪解けの始まりなのではないかと思わず期待した僕だった。


〈第3章 疑似家族旅行〉

 二日続けて学校に来なかった結衣花さんを心配した僕は、妹二人を連れて、彼女の家である高級タワーマンションを訪れた。僕たちを迎えた彼女は、髪はボサボサ、目は泣き腫らしていたのが一目瞭然で、服もありあわせ。揶揄うような口調は強がっているのが明らかだった。彼女が見せた裸の背中には、自分の夢を巡って母・沙月さつきと殴り合いの喧嘩をした痕が刻まれていた。

 歌手になりたいと明かした彼女。「私は一人じゃ生きていけない。あんなお母さんでも、やっぱり私の母親だから」と噛みしめるように口にした結衣花に、雪奈は「娘を殴る母親なんて……そんな母親がっ!! 母親なわけないじゃないですか……っ!!」と泣き叫んだ。妹たちとともに、僕はDVを受けている彼女をしばらく我が家にいるよう勧めた。そうして僕たちは、メイド服を身に纏った結衣花さんを迎え入れ、我が家には彼女の生活道具が運び込まれた。

 結衣花さんの歓迎パーティーということでお寿司を食べた後、父親に相談したところ、本格的に“家族”となった彼女と、給料なしで同棲することに。しかも、今度皆で旅行に行ってこいと突然言われた。結衣花さんと一緒に家事した後、僕の部屋に入ってきた彼女はあっさり寝落ちしてしまった。その裏では、三樹が沙月と電話越しに話し、結衣花が僕たちの家に泊まることを了承させていた。

 連休初日、明後日から鬼怒川温泉へ旅行に行くことになり、なんとかホテルの予約に成功。近くの駅ビルで水着を買うことになった。雪奈に下着の感想を求められ、雪奈がクラスの男子を家に連れてくる想像にシスコンを発動して悶絶しながらも、彼女がそれを否定してお兄ちゃんにだけは見せる予定があると呟いたのは聞こえてしまっていた。昼食の席では胸の大きさの話になり、どう言っても女性陣の誰かを刺激してしまう状況に。僕はメニュー表の間違い探しをしながら現実逃避をしていた。

 早起きして列車に乗り込み、いざ鬼怒川温泉へ。皆で足湯を堪能した後、吊り橋では妹二人に挟まれ、階段を上りながら結衣花さんと手を繋いでドキドキして、展望台にある「縁結びの鐘」にやって来た。浴衣に着替えて入浴した後、ダブルスを組んで温泉卓球を楽しんだり、バイキング形式の夕食後は寝る場所を決めるためのババ抜きをしたりして楽しんだ。妹たちの間に結衣花さんが寝るというのが、心のどこかでしゃくに障ったような気もして、僕は雪奈と澪奈の間で寝ることを選んだ。

 深夜、貸切の露天風呂に入っていると、雪奈がバスタオルも持たずに入ってきた。いつものツンツンした態度からは想像もつかない近い距離で、しばしの混浴を楽しむ。そして腕がしばらく密着した後、雪奈は上がる瞬間、僕の頬にキスしてきた。思ったほどの嫌悪感は全然なくて、僕も流石に色々と考えてしまう。彼女との距離感はよく分からないまま、皆で舟に乗った川下りでは船頭さんに雪奈が彼女だと思われ、手を繋いで密着することになった。


〈第4章 対決……!?〉

 連休でぐだぐたしながらも、二人でマカロン作り。初めての共同作業の後、「あーん」もされ、挙げ句「孝樹君はいい夫になりそうだ」と揶揄われる。その後、ババ抜きで敗北した僕は、結衣花さんのメイド服を着せられてしまった。

 連休明けに投稿すると、結衣花さんのサブ垢での投稿から、四人で旅行したことが寺島さんにバレてしまった。月曜日にズル休みしたことを先生にバラすと脅され、僕は屋上で寺島さんと一緒にご飯を食べる。そこで彼女に、なんと雪奈に写真で一目惚れしたと告げられた。

 連休明け、結衣花さんは僕の立ち会いのもとで母親と会った。財務省のキャリア官僚である沙月さんは、相対するだけで縮み上がりそうになるほどのプレッシャーを持つ美人である。その彼女が、僕の予想とは異なり、結衣花さんにいきなり謝った。娘が家事をしてくれていたことで、自分は仕事に集中できていたことに気づいたと語る彼女に、幼い頃から家事をしてきた結衣花さんは報われて号泣した。

 元父親の不倫が発覚したのは、結衣花さんが三歳の時だった。沙月さんはすぐに離婚し、仕事に打ち込む。そんな彼女のことを結衣花さんはカッコいいと思っていた。結衣花さんは勉強に勤しみ、そんな彼女のことを周囲は褒めた。でも、それはクズな父親から半分を受け継いだ美貌に与えられるのと同じ、所詮表面的なものだった。多忙のあまり賞賛してくれない母親に失望しながらも、なまじ賢かった彼女は、自分にかけるお金は母の給料から出ていることを知っていた。休んでよとも言えずに理想の娘を演じ続け、料理の腕ばかりが上がっていった。沙月さんは、もっと休んでいれば良かったと言ったけれど、その選択肢は当時の彼女にとりうるものではなかった。

 僕は結衣花さんに、やっぱりお母さんの家にいたらどうかと提案したものの、彼女にあっけなく断られた。それでも結局、結衣花さんは火曜日と金曜日のみ沙月さんの家に帰って家事をすることになった。結衣花さんが笹木家にいることについて、僕は「娘さんは僕が幸せにしてみせます」というプロポーズ紛いのことを沙月さんに言ってしまい、ちょっと揶揄われるも、そのまま一緒に手を繋いで帰った。




各キャラクターの簡単な紹介文及びキャラ画像を載せた近況ノートはこちらです!

https://kakuyomu.jp/users/pikoma/news/16817330648391499853

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