4.週末セックス

 いつも人を寄せ付けずにひとりで飲んでいたアキは、話してみれば気さくでサバサバしていて、何を言っても大きく口を開けて笑ってくれるから、俺はすっかり調子に乗ってその夜はしこたま飲んでしこたまくだらない世間話を続けた。


 俺の知る限り誰の誘いにも靡く気配のなかったアキがずっと隣にいるのだから調子に乗らないわけがない。そうして。

 気がつけば、俺の部屋の俺のベッドの上でアキと絡み合っていた。




 それから週末ごとにアキと三平で飲み、酔った勢いで俺の部屋になだれ込む、というルーティンができあがった。


 孤高のクールビューティかと思いきやアキは甘え上戸で、酔いが回るととたんに体をくっつけてくるからわかりやすい。ひとりでまったり飲んでいた姿はなんだったのか。


「セーブしてたんだよぉ。酔うまで飲むとエッチしたくなるでしょお。でも今はキヨシくんがいるもんねぇ」

 俺の首にかじりついて頬にブチュウとしてくる。


 アキを介抱しなくてはと思うと、俺はそれほど飲まなくなった。介抱といってもアレだけどな。泥酔しちまうと男はアレだからな。


 サバサバした性格らしく、サバサバとエロいタイプのアキはたいていのことはやってくれたしやらせてくれた。ちっぱい最高かよ。


 コトが終わると酔いも醒めるのか、アキは何事もなかったように身支度して部屋から出ていく。そのアッサリさに俺は最初面食らったがすぐに慣れた。ピロートークも必要ない、最高か。



 だから、アキが泊まると言い出したときには前の女のことを思い出して警戒はしたけれど。


 頭まで布団を被ってすでに寝入っているようすは、本当に単に眠さの限界だったという感じだ。

 そもそもアキは結婚願望がありそうには見えないし、人生を狙われる心配なんか杞憂か。


 考えるのもバカらしくなり、俺もマッパのまま布団に潜り込んでアキの小さな体を抱いて眠った。




 思った通り、「寒いし眠かったんだよねー」と笑いながらアキは翌朝には帰っていった。

 以来、同じように泊まることはあっても、朝には姿を消す。


 そんな週末セックスが常態化したままクリスマスや正月を越え、再び男女が色めく時期を迎えるころ、さすがの俺も疑念を感じるようになった。


 今まで俺は食い散らかすばかりで、ここまで長くひとりの女と関係を続けたことは初めてで。カラダだけとはいえ、もしかして付き合っているうちに入るのか? アキはどういうつもりなのか。急に、気になりはじめたのである。

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