最後は私が
「ただいま〜」
「ただいまです」
私とシュミカちゃんは揃ってホワイト・リリィの扉を開く。
「お帰り」
「おかえりなさい」
イオちゃんとカロンちゃんが、椅子に座ったまま首をこっちに向けて言ってくる。
「1次発酵、2次発酵まで済んだわよ。今乾燥中だけど、もうじきそれも終わるわ」
「おお、二人とも作業早いね」
すっかり大半の作業が終わってしまっている。
「だから後はアヤが焼くだけ」
イオちゃんが寝かせているパン生地を指差しながら言う。
「じゃあ私が人肌脱いで焼いちゃいますかぁ」
私は早速外套を脱いで、上着の袖をまくる。
「さすがパン職人です。雰囲気が違います」
シュミカちゃんが、目を輝かせながら私を見つめてくる。
ちょっと恥ずかしい…。
「竈門に生地を並べて、と」
1個2個と次々パン生地を竈門の中に並べていく。
「任せたよ、アヤ」
「任せたまえ」
イオちゃんにウインクで返す。
ふっふっふ。
レベル1の私が唯一手に入れて、熟練度を上げているパン職人スキル!
その力を存分に奮ってやろう!
「赫き焔を纏いし地獄の龍よ…」
「また出たわね。不必要なアヤの謎詠唱」
う、うるさいなぁ。
こういうのは気分が大事なの!気分が!
「今ここに我が意に従い顕現せよ。
ポッ。
と、青白い小さめな炎が竈門の炉にかざした手のひらから出る。
「ふぅ」
私は、額の汗を右袖で拭き取る。
「特級魔法なはずなのに、レベル1が使うとしょぼい…」
灼熱嬢のイオちゃんに冷たい目を向けられる。
う、うるさいなぁ。
万年レベル1なんだからしょうがないでしょ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます