もう帰ります

「ではこれで。帰りましょうかアヤさん」

「あ、うん」

シュミカちゃんに手をひかれ、私は歩き出した。

「お、お待ちくだされ! まだこの度の謝礼が・・・」

「ホワイト・リリィに送っておいてください」

シュミカちゃんはきっぱりと言う。

「この後宴会があるのですが・・・」

「アヤさんがいくと言うのであれば私は構いませんが、私一人では行きません」

シュミカちゃんは私に同意を求めるように、私の方に振り返った。

「あ、私も別にそう言うのいいんで」

「だそうですので、いきません」

まだ何かいいたげな村長さんから逃げるようにして、シュミカちゃんはズンズン大股で歩いて行った。


「あの人たちシュミカちゃんのこと歓迎?しようとしてたみたいだけど、いいの?」

「アヤさんのことを元勇者呼ばわりする方達と話すことはありません」

私が尋ねるとシュミカちゃんは何故かぷんぷんしながら言う。

「まあ、一応私はその通り元勇者だし、おかしいことではないんじゃない?」

「だとしても、アヤさんが無能みたいな言い方をするんですよ!? アヤさんが今元の力があれば、あんな木の100本や1000本余裕なんですから!」

シュミカちゃんはガッツポーズと共に力強く言う。

「いやぁ、さすがに1000本は無理かなぁ・・・」

今の私じゃ一本ですら無理なのだが。

「ともかく! 私はあんな人たちのところにはいきません! 今回はたまたま頼まれたから行ってあげただけです」

シュミカちゃんは、見えない誰かに向かって言うかのように、力強く宙に宣言した。

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