シュミカちゃんの魔法

「こちらでございます、シュミカ様」

シュミカちゃんと、セットで私は、木が群生する未開拓地に案内された。

「こちらの木10本を切り倒して欲しいのです」

横に5本、奥に2列、計10本のそこそこ太めな木が生えていた。

「これ全部ですか?」

「ええ、お願いいたします」

シュミカちゃんは、小さく息を吐く。

「アヤさん、私の杖持っていてもらえますか?」

「あ、うん。任せて」

私は、シュミカちゃんから、最高品質の大木の枝を切った、直径30センチほどの杖を受け取る。

杖を使わないってことは、斬撃系の魔法で一斉に切り倒すのだろうか。


「ウィザードの貴女様が杖をお使いにならずにどうされるので?」

村長が、シュミカに不思議そうに尋ねる。

「今集中してるので静かにしてあげてください」

嫌そうな表情を浮かべていたシュミカちゃんに代わって私が村長さんに告げる。

村長さんは、元勇者の無能な私に言われて、少し顔を歪ませたが、すぐに静かに木に向き直った。

その刻は一瞬だった。

雷電刃サンダー・ブレード!」

シュミカちゃんが、上級雷魔法名称を叫び、右腕を左肩上から右横に薙ぎ払う。

刹那、バリバリッという轟音と共に、10本の木は、全て綺麗に右へ倒れていた。


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