エピローグ ボク
あれから10年後のクラス会。
僕はまたクラス会の幹事をやった。これで、4回目。
エリと出会ってから30年が経った。
エリは数年前に旦那と離婚して、実家でお父さんと暮らしていると風の噂で聞いた。
僕も、結局、離婚した。僕の本意ではない。
ある日、出張を終えて、家に帰ると、マイホームから、妻子の姿は消えていた。
僕は、驚いて、妻に連絡したが、
「離婚する。あとは弁護士と話して。」
僕には、妻のメンヘラは止められなかった。
そうして、独身に戻った僕だったが、すぐに「エリとの再婚」とはならなかった。
エリは離婚したことを僕には知らせなかった。
つまりはそういうことなのだろうと思った。
クラス会で、エリに会えるかもしれないと、僕は期待した。
エリは、元気で生きている。それは、彼女のSNSを覗いて知っていた。
エリは、僕の影響を受けて、猫を飼い始めていたし、写真も覚えた。
でも、僕には連絡してこなかった。
もう、僕たちの人生が、交錯することはない。
きっと、僕たちは、また出会ってしまったら、
また、同じように10歳の頃にタイムスリップしてしまう。
僕たちは、もう40歳になった。
もう過去には生きられないし、多くの未来を有しない。
未来は若者たちのものだ。
明日、世界が終わるとしても、もう僕たちは会わない。
今生で会うことはない。
それが、別れというもの。
サヨナラ。エリ。
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