第13話 波
エリ、君のそばには僕しかいなかったね。
もっと前から、一緒にいられたらよかった。
本当の意味で、君を幸せにしたかった。
彼女の容態は一進一退だった。
堕胎、ドラッグ、死別、自殺未遂、を原因に、摂食障害、無月経、パニック障害、自律神経、膝痛と様々な症状がある。
彼女の欲求は、ただ一つだった。
ただ、愛されること。
なぜ、旦那を「ヤツ」と呼ぶのか知らない。
なぜ、実家に帰っているのか知らない。
なぜ、自殺未遂をしたのか知らない。
なぜ、堕胎をしたのか知らない。
僕は何も聞かない。
エリが話したいなら聞く。
エリにとっての僕が特別なのは、幼馴染だからだった。
僕は社会的な地位もないし、高給取りでもない。
見た目だって普通だし、これといった特技もない。
だけど、エリのことを受け入れることに関して、僕以上の人はいない。
もう、エリは夜だけじゃなく、昼間も落ちるようになっていた。
旦那との離婚協議がうまくいっていない。
そして、身体のこともある。
なによりも、僕との未来を本気で望み始めたことで、
今までとは、自分自身への見え方が変化していた。
自分を変えようとして、それが上手く行かないことに苛立っていた。
僕たちは、この月、ほとんどセックスをしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます