第3話 出会った頃は

ねえ、


私って何?


あなたにとっての私


友達?


仲間?


それとも


恋人?


私は恋人だと思ってるわ


あの始業式の日に言葉を交わして以来


ずっと惹かれあってきたじゃない?


お互いにセンスがとても合って


笑うツボもぴったり


何をするにも一緒


飲み明かすのも一緒


友達と騒いでる時だって


よく冷やかされてたじゃない?


ちょっとこそばゆかったけど


決して悪い気はしなかった


言葉には出さなかったけれど


二人には通じ合う絆があると思ってた


だけど違うのね


最近のあなたは


あの子に夢中


いつだって目で追いかけてる


分かるのよ


何も言わなくたって


ねえ


あの子って何?


あなたにとってのあの子


それは恋なの?


もしそうだとしたら


私は要らない存在になっちゃうの?


そんなの嫌だな


だって私にとってあなたは


かけがえのない存在


ねえ、


私だけを見てよ


こんなにあなたを思ってるのは


私だけなんだから


それでも


行ってしまうのね


いいわ


あなたの好きな様にすれば


どうせフラれるのよ


そしたらきっと


私の元に帰ってくる


そうに決まってる


でもそうじゃないとしたら


私はどうすればいいの?


あなたがいなかったら


私はまるで


ガラスの靴をなくしたシンデレラ


ひとりぼっちの


ただの灰をかぶった女の子


お願い


帰って来て


ずっと友達のままでもいいわ


私のそばにいてよ

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