第11話 カリスマ書店員が嫌い!
こんにちは。草原守拙です。
こういうことを書くと「こいつ、単に僻んでいるだけだろう」と感じられてしまうと思いますが、ええ僻んでいますわ。
どんな世界にも「通」「マイスター」「ソムリエ」「カリスマ」などと評される人がいます。そして、わたしが唯一社会人として過ごした書店というか本屋さんにも『カリスマ書店員』と呼ばれる人が結構いて、各種メディアに出ては「わたしのオススメ本はこれです!」「これは、わたしが見つけた掘り出し本です」果ては「この作家(または作品)が売れたのはわたしが拡販したからだ」と自慢して、中には書店タレント化してしまっている人もいます。
しかし、まず第一に『書籍』と言うもの、特に『小説』をはじめ文化芸術趣味嗜好というものに対する思いは人間一人一人によってまさに千差万別なのであって、世間一般にはベストセラーを連発する作家の小説が、例えばわたしにとってはつまらない、読みづらい、どうってことないものであったり、全く売れない『万年初版作家』の小説が抜群に面白かったりするわけです。
まあ、簡単にいうと「個人の意見を大勢の人に押し付けないで欲しい」のです。
もっと言いますと、本当の『カリスマ書店員』というのは自分の在籍する書店をプロデュースするだけではなく、マネジメント、つまりは部下の教育、アルバイトの管理育成、ローテーション・ガントチャート管理、接客応対、プレゼント用の包装技術、経理、総務、店内の整理整頓やそれに今なら新型コロナ対策など店舗の全てを俯瞰して見られる人のことを言うのが本当であり「今日はテレビや雑誌の取材があるので、レジには入れません」とか「今日はこの本を百冊売るから他の本なんて知らない」ましてや「わたし『本屋大賞』の実行委員なので、他の社員と一緒にしないでください」なんていう本末転倒な『カリスマ書店員』が実際にいるのですよ……すいません「いたのですよ」ですね。ははは。
書店は接客業であり販売業、つまりは書籍や雑誌を販売して利益を出す『商売』『商業』なのであり「オススメ本」や「ベストセラーランキング」などをお客さまに掲示するのは売り上げを伸ばすための『おまけ』だと思うのです。その『おまけ』作りに精通した人を『カリスマ書店員』と思い違いをしている業界人が多いようですが、彼ら『自称・カリスマ書店員』が『おまけ』作りのために店頭を留守にするために不足した人員を上手にやりくりし、他の人たちに不満を貯めさせない、そのためには自己犠牲も厭わない人、それこそが真の『カリスマ書店員』だとわたしは思うのですが、どうでしょう?
書店員ってなんだか「自分たちは文化芸術を販売しているから他の接客業・小売業とは違う」という変なプライドを持っている人が多いような気がします。でも、書店員は別に文化芸術家ではないのです。他人の作った文化芸術作品を仕入れて販売しているだけなのです。コンビニの従業員と同じ『ソーシャルワーカー』なんて言ったら『ソーシャルワーカー』の方々に怒られますね。ごめんなさい。
結局、言いたいのは人間の趣味嗜好はそれぞれ違うのだ! 多様性社会を作ろうと言うことかもしれません。『新・新・個人主義』とでも言うのでしょうか? なんか、主題とはかけ離れましたね。
さようなら。
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